NZの警戒レベルと図書館

ニュージーランドでは,2020年4月28日にCOVID-19の警戒レベルが,レベル4からレベル3に変更された。さらに,5月11日には警戒レベルを新たに見直す予定である。ニュージーランドの図書館協会,LIANZAのCOVID-19のウェブページには,警戒レベルがレベル3であるため,まだ,図書館は閉めたままであると書かれている。ここでは,それぞれのレベルで,図書館がどのように設定されているかを見てみたい。

図書館の話の前に,ニュージーランドの仕組みを確認しておく。ニュージーランドでは「COVID-19警戒システム」という仕組みがあり,警戒レベルが4段階,設定されている。それぞれにおいて,旅行,教育,人の移動などで可能なこと,禁止されていることが明示されている(ウェブページはこちら)。この警戒レベルは,科学的知見と,ニュージーランドや他国の対策の状況によって変更されるようである。つぎに,警戒レベルと図書館の対応について見ていく。

警戒レベル4:ロックダウン(rockdown)では,閉館(対面でのサービス禁止)となっている。図書館は「公共の場所と集会」という項目にあり,同じ項目には,バー,レストラン,カフェ,ジム,映画館,プール,美術館,運動場などがある。

次に,現在(2020年5月8日)の警戒レベル3:制限(restrict)ではウェブページ上の記載はないが,”New Zealand COVID-19 Alert Levels Summary“という早見表によると,上記と同様,閉館となっている。

警戒レベル2:縮小(reduce)では,早見表によると再開とされているが,一定の制限のもとである。ウェブページでは,利用者が1メートル以上の間隔を保つこと,そのために利用者数の制限をしなければならない場合のあること等が書かれている。

では,警戒レベル2になれば,すぐに開館するか,というとそういうわけではなさそうである。クライストチャーチの図書館のウェブページによると,レベル2になって以降,図書館が安全であることを確認できたのち,開館するとされている。その場合も,最も大きなTūranga(図書館名)から開館し,次第に規模の小さい図書館が続くとされている。ちなみに,Tūrangaは,クライストチャーチの地震後,新たに開館した中央図書館であり,世界的によく知られている。

警戒レベル1は記載がない。

ニュージーランドは上記のように対処方針が明確である。また,見直し時期が明示されており予測可能性が高い。こうしたニュージーランド政府の対応は,早期の封じ込めに成功したとして欧米で評価されている。

国の大きさが違うため,日本がニュージーランドのように集権的に対処するのは難しいであろうし,マイナス面も考えられる。都道府県ごとに判断するのは,地域の実情を踏まえての対応という点で優れている。しかし,都道府県ごとに「協力要請」の内容が異なること,その対象事業も異なること,など分かりにくさもある。どのような対処がよかったのかについては,国,都道府県,基礎自治体の各レベルにおいて,今後,検証が必要であろう。