行ったところ(11/4〜)

パークデール分館

トロント市内の南側,オンタリオ湖に近い場所にある1。図書館前には巨大な地球儀のオブジェ「World Peace Monument」が置かれている。建物は地下と1階に分かれており,地下は会議室などがある。通常の図書館は1階部分である。この図書館も絨毯が敷かれている。カナダの図書館はみんな絨毯である。

入口を入るとすぐにカウンターがある。その手前には古い図書を販売するBook Saleが置かれていた。カウンター前には自動貸出機がある。フロアの入口に近いところには児童コーナーとティーンのコーナーがあった。児童コーナーはちょうど夕刻の時間帯で,幼稚園帰りと思われる親子が多く賑わっている。ティーンのコーナーには日本のコミックがかなり揃っており,その書棚の上には GRAFPHIC NOVEL と書かれた文字のオブジェが置かれていた。そのオブジェにも日本のコミックの切り抜きが貼られている。フロアのほぼ中央にはPCと閲覧机があった。PCは全部で20台ほどあり,ほぼ使用中である。閲覧者は読書をする人,PCで作業する人,寝ている人など,さまざまであった。館内には多くの利用者が滞在していた。

フィクションとノンフィクションが並んでいる。図書の天には受入年月のスタンプが押されていた。ウィーディングのためであろう。バーコードはパークデールと書かれており,館籍を持つことが分かる。Holds(予約)の棚にならぶ資料も多い。数えてみると600冊ほど準備されていた。他にEnglish as Second Language(ESL)の図書がかなり充実していた。また,多言語の図書も見られた。書棚には「一度書架から取り出したものは戻さないように」という張り紙が貼られ,ブックトラックが置かれていた。これは年4回の館内利用量調査のためである。全館的に実施されている。

興味深かった点を三つ挙げる。一つ目は「ブラック&カリビアン・ヘリテージ」というコレクションである2。図書,DVD,CDなど約1.9万点を所蔵しており,この図書館以外にも三つの図書館で同様のコレクションがある。ここでは20棚分,排架されており,背表紙には「BCH」とラベルが貼られていた。これは1973年以降,この図書館で長く勤めた図書館員リタ・コックスを中心に収集されてきたものである3。リタ・コックスはトリニダードトバゴで生まれ,ニューヨーク公共図書館,トロント公共図書館で働いた児童図書館員であった。

もう一つ興味深かったのは,楽器を貸出していることである。ウクレレ,ギター,ヴァイオリンをはじめ,さまざまな楽器を貸し出している4。その種類がなんと100点もある。楽器の貸出は他の図書館でも見てきたが,これほど多いのは初めてである。貸出期間は3週間である。楽器貸出は,この図書館を含めて三つの図書館で行われていた。市民から楽器の寄贈も募っており,またトロント交響楽団による楽器演奏方法を学ぶためのチュートリアルも公開されている5

三点目は,入口正面にLibrary Settlement Partnership(LSP)とCultureLinkの大きなポスターが掲げられたコーナーである。LSPは新しくカナダに来た移民を支援するコーナーであり6,法律,住宅,雇用,教育,医療,語学学習,運転免許取得,市民権試験など幅広い相談を受け付けている7。他のトロントの図書館でも見たことがある。その仕組みについて,あまり理解していなかったが,TPLではこうした事業を非営利組織などに委託しており,CultureLinkはその一つとのことであった。訪問時は夕方だったため,すでに職員は退館していた。TPLでは,こうしたコーナーを常設する図書館と,職員が巡回してサービスを提供する図書館がある。

ヨークビル分館

トロントレファレンス図書館から100メートルほどしか離れていないところにある8。この分館は1907年に開館している。トロントで最も古い図書館である。当時,カーネギーの寄付により4つの図書館が開館したが,現在残っているのはここだけである9。周囲には大きなビルが建ち並ぶ地域だが,図書館は格調高く,見劣りしない。まもなく120年を迎えようとしているが,施設からは古さを感じない。1978年には改修・増築が行われている。階段を上がって図書館に入る。ワンフロアで,カーネギー図書館らしく天井が高く,美しい空間である。

入口入って左側にはフィクションがならぶ。Teenコーナーやグラフィックノベルも排架されていた。右側には雑誌,CD,予約資料などがある。閲覧席もある。館内の中ほどにカウンターがあり,その周囲にも閲覧席があった。PCは6台設置されている。DVD,オーディオブックも排架され,コミュニティ情報も掲示されていた。「11月11日 Remembrance Day」とポスターが掲示されていた。11月11日は第一次世界大戦の停戦日で,カナダでは戦没者を追悼する日とされている。

奥は1978年に増設された部分で,オリジナルの建物とは天井が異なる。左側にノンフィクション,右側に児童コーナーがある。家族連れの姿が見られた。一番奥には会議室がある。会議室は展示スペースとしても使われており,絵が飾られていた。訪れたのは日曜日の午後で,この冬はじめての雪の日であった。それでも混雑というほどではないが,それなりに利用者が滞在しており,来館者もいた。

巨大なトロントレファレンス図書館のすぐ近くに,なぜこの分館があるのかというと,トロントレファレンス図書館は貸出機能が限定的であり,児童コーナーもないためであろう。また,トロント最古のカーネギー図書館ということも関係しているのかもしれない。とてもきれいな図書館であり,まもなく120年経とうとしているにも関わらず,依然として有効に機能しているのが驚きである。

ヘイゼル・マカリオン中央図書館

ミシサガは2024年まで二層制の自治体であったが,現在は単一自治体である。ただし,二層制のときも図書館はミシサガが運営していたため,ガバナンス上の変更はない。図書館は全市で18館あり,図書館委員会(Library Board)のもとにある。委員会は9名で,うち議員が2名含まれている。年7回開催されている。

ヘイゼル・マカリオン中央図書館はミシサガの中央図書館に当たる10。長く市長を務めたヘイゼル・マカリオン氏にちなんで名付けられた11。図書館は高層ビルが多数立ち並ぶミシサガ中心部に位置している。近くには大型商業施設であるスクエアワンがある。開館は1991年で,2021年から2023年にかけて大規模な改修が行われた12。内部はすっかり新しくなっており,新築と変わらない。改修により建築関連の賞を複数受賞している。改修費は4,900万カナダドルである13。館内には2つのアトリウムがあり,「ライトフォール」と呼ばれる光のインスタレーションがつるされていた14。入口を入るとカフェ,ティムホートンズがある。カナダの街ではどこにでもあるカフェである。

図書館は2つのアトリウムを取り囲むような構造となっている。接合部分には各階共通してカウンター,プリンター,デバイスの自動貸出機などが置かれていた。プリンターではスキャンやPCからの出力も可能である。また,デバイス・レンディング・キヨスクでは,ThinkPadとiPadが貸出しており,実際に何台か貸出されていた。北欧や英国でも同様のサービスを見たが,あまり貸出されていなかったのとは状況が異なる。これらは電源を切ると利用履歴は削除されるとのことだった。

アトリウムは天井まで吹き抜けになっているため,館内には多少のざわつきがある。ただし,絨毯が敷かれていたり防音処理がされているようで,騒がしいわけではない。この図書館で特徴的なのは書架が非常に低い点である。改修によるもので,全体の見通しがよくなった。またサインが少ない。蔵書数は18万点と紹介されており,改修前よりは減ったもののそれなりに所蔵している15。館内は白を基調としつつ,各階ごとにテーマのカラーがある。各階にはガラス張りのミーティングルーム(4人から6人で利用)があり,大型ディスプレイが付属している。予約はウェブから30〜120分の範囲で行える。無料である。平日午後に訪れたが,館内は混雑しており,席を見つけるのは難しい。各階の構成は次のとおりである。

地下(0階)には階段を降りると舞台(The Stage)があり,イベントスペースとして用いられる。PCが20台ほど並んでおり,ノートPCを大きなディスプレイで表示できる席もある。スキャナーを利用できる席もある。それを囲むようにメーカースタジオ,フォト&ビデオスタジオ,サウンドスタジオがある16。メーカースタジオには3Dプリンター,大判プリンター,レーザーカッターなどのある部屋と,ミシンなどのあるデジタルメディアラボがある。

1階は児童コーナー中心である。他に,予約図書,ゲームソフト,寄贈図書の販売などがある。寄贈図書には「教科書」と書かれたコーナーがあった。舞台は奥にあるが当日は閉まっていた。イベントなどを実施するプログラムルームが2部屋ある。こうした部屋は他の階にもあった。2階はティーンと大人向けフィクションである。図書の中にはトロント同様,Biographyのシールが貼られていた。これは,かつて「伝記」を独立のコーナーとして設けていた名残とのことである。書架はすべて低く,一番下の段は基本的に使用せず大型本などを横にして置いたりしている。この階にはゲーミングの部屋があった(後述)。他に窓際にスクリーンで仕切られた学習スペースもある。ここは予約不要で利用できる。

3階はノンフィクション中心である。DDC順で並べられていた。この階にはミシサガの地域資料とデジタル化スペースが一緒になった部屋がある。系図資料を含め地域資料は閉架制で,さらに奥の部屋に収蔵されていた。デジタル化スペースでは,ビデオテープ,カセットテープ,紙の図書などをデジタル化できる。4階は雑誌,DVD,新聞,多言語図書(ワールドランゲージ)などがある。多言語図書は市の人口構成を考慮して購入しているとのことであった。この階にはイベントスペース,静寂室,スカイリーディングラウンジ,キッチンがある。静寂室は改装で新たに設けられた大きな部屋である。ここは静かな利用を前提としている。スカイリーディングラウンジはソファが置かれており,ガラス越しに街を見下ろせる。

以下,興味深い点である。2階にゲーミングの部屋がある17。ポーランドでも同様の施設を見たことがあった。内部は大きく2つに分かれており,図書館がSteamを通じてゲームを購入・管理し壁面ディスプレイで利用するゲームステーションと,Nintendo Switch,PS5,Xboxなどを利用するコンソールステーションがあった。他にVRステーションもある。PlayStation VR2が遊べる。放課後や休日は非常に人気が高いとのことである。入口付近には職員が机を出し,子どもの利用を管理していた。子どもだけで利用する場合は13歳以上が条件である。13歳未満の場合は保護者同伴が必要である。

また,多宗教に対応した祈りの部屋(Multi-Faith Prayer Room)があったのも興味深い。訪問時,実際に利用している人が2人いた。部屋の大きさは8畳ぐらいであろうか。女性はパーティションを用いて祈っていた。多様な市民がいる中で,さまざまな人を受けれる図書館であればこそ,こうした施設も求められるとの説明であった。特定の宗教のためではないところも重要であろう。

2階には「オープンウィンドウハブ」と呼ばれる部屋がある18。ここにはソーシャルワーカーが常駐していた。予算は図書館が負担している。ホームレスや精神的な問題を抱える人への支援を行っている。図書館にはこうした問題を抱えている人が来るのは,日本でも特に都市部ではそうであろう。平日は毎日軽食を提供するとともに,曜日によってはランチも提供していた。隣には「サービス・カナダ」という部屋があり,移民関連を含む連邦政府の手続きに対応している19。こうした行政の窓口があるのは英国を含めて近年の図書館の傾向である。

ミシサガでも多様なプログラムを実施している。こうしたプログラムの運営について尋ねたところ,基本的に4名の職員が担当しているとのことだった。4名はそれぞれ担当分野を持っている。イベントは,単館または複数館で実施するものがあるが,複数館で実施する場合は,職員の研修も実施している。実際に見てみると,「3Dプリンタ入門」などはメーカースペースがある複数館で実施されている。プログラムの企画や実施はMLISで学ぶというより,図書館員が多様な業務経験を通じて身につけているとのことであった。

パーナムソープ図書館

トロントの西隣に位置するミシサガの分館である20。ミシサガの人口は70万人を超えている。トロントのベッドタウン的な街とされるが,中心街には高層ビルが多く建ち並び,さらに建設が進んでいる21

パーナムソープ図書館は市の東側に位置する。ワンフロアの図書館であり,劇場との複合施設である。1976年に開館し,2011年に改修されている。施設は新しい。設計はトロント・レファレンス図書館と同様,日系カナダ人のRaymond Moriyama氏である。図書館で開催するプログラム用の部屋は入口外の右側にあり,ガラス張りである。その部屋の前には図書館およびコミュニティに関する情報コーナーがある。「仏教を探求する」というテーマの瞑想を6週間にわたって学ぶ興味深いイベントもある(ポートクレディット分館)。

図書館に入ると左手にカウンターがあり,その前には多くの図書が展示されている。新着図書,古典の再発見,歴史小説,お薦め(Raves and Faves),戦争を忘れない(Lest We Forget),カナダ人著者などなど。左手にはPCが並ぶが,午前中のためか利用者は少なかった。PS4,PS5,Xbox,Nintendo Switchのビデオゲームソフトの貸出も行われていた。閲覧席は奥にあり,約15名ほどが滞在していた。

資料は左側からTeen,ノンフィクション,フィクションと並び,右端が児童コーナーになっている。Teenには日本のコミックが多く見られた。ノンフィクションの棚にはレファレンス資料が混配されており,For Use in Library Onlyと表示されていた。分類はDDCである。「世界の言葉」という多言語図書コーナーには,ポーランド語,中国語,フランス語,アラビア語,イタリア語,スペイン語,タミル語,ウクライナ語,ウルドゥー語などの図書が揃っていた。奥には雑誌・新聞のブラウジングコーナー,CDやDVD,オーディオブックなどが排架されている。

児童コーナーには,幼児向け絵本(board book),絵本,CD付き絵本,簡単な読み物(アーリーリーダーズフィクション),児童文学,児童ノンフィクションが並んでいた。簡単な読み物は4〜7歳,5〜8歳,6〜9歳の3つに分かれている。また,教育用タブレットLaunchpadも置かれていた22。児童コーナーにはTouch2Playというインタラクティブなディスプレイがあり,20種類ほどのゲームが利用できる。そこにはLegoも置かれている。グロッケンシュピールという楽器の貸出も行われていた。

奥には静寂室,グループスタディールーム,メーカースペースなどがある。メーカースペースにはミシンなどがあった。この部屋は鍵がかかっていた。図書館では,WiFiホットスポットやChromebookの貸出も行われている。

興味深かったのは,図書を紹介するオンライン画面(OPACも同様)である23。ここでもバーリと同様,BiblioCommonsが使われている。トップ画面にはスタッフリストとして様々なお薦め図書が掲載されていた。ミシサガの図書館では1週間から10日前後で新しいお薦めリストを更新している。簡単な紹介文と約10冊の表紙画像が表示される。約60ほどのリストがあった。下にスクロールすると,最近,利用者にレビューされた図書やDVD,CDが表示され,さらにその下には最近評価(Rate)された図書や利用者によるリストが続く。レビューはAmazonと同じように表示されているが,これはBiblioCommons内で共有されたものである。この図書館だけではなく,BiblioCommonsを導入している他の図書館の利用者によるコメントが表示されている。BiblioCommons内で情報を共有することで,「図書館の利用者」による評価情報を知ることができる。

ハミルトン公共図書館 中央館

オンタリオ州ハミルトンにある24。ハミルトンの人口は約57万人で,単一自治体である25。トロントからはおよそ60キロ南西にあり,オンタリオ湖の西端にある。ハミルトンには図書館が23館あり,移動図書館も走らせている。ここはその中央図書館である。中央図書館は,ジャクソンスクエアという大きな商業施設に隣接している。図書館のルーツは1890年に建てられた図書館で,1913年にはカーネギーの支援によって本館が建てられた26。現在の建物は1980年に建設されたもので,2010年に大きな改修をしている。

商業施設側から入るとエントランスに「人種差別反対!」という掲示がある。カーネギーの胸像や,メーカースペースで作ったハロウィーンのキャラクターなどがジオラマとして飾られていた。館内は非常に広い。1階には主にPC,児童コーナーがある。1階にたくさんのPCがならぶ点はトロント・レファレンス図書館に似ている。児童コーナーの前には大きなインタラクティブスクリーンがあった。1階には他に「Enjoy snack but no hot food or meals」と書かれた飲食スペースもあった。このスペースは,図書館利用者というよりも,暖を求めたり雨を避けたり(当日はひどい雨)する人が多く見られた。カウンター前にはDVDや図書が表紙を見せる形で展示され,書店のように複本が積まれたコーナーもある。これは,日本でやったら怒られそうである。また,1階にはコミュニティデスクもあり,さまざまな専門的職員が時間を区切って市民の課題に対応している。

2階はフィクションを中心にしたフロアである。他に,ティーンコーナー,オーディオブック,CD,多言語資料,ブッククラブキットなどがあった。ブッククラブキットは,すぐに読書会が始められるよう図書を複数冊まとめたセットである。さらにこの階にはピアノルームがあり,その前にはスコアを入れたキャビネットがあった。図書の購入は,バリー図書館同様にWhitehots社からである27。図書の装備,マークも含めて一括して購入している。視覚障害者向けのDAISY図書もあった。DAISY図書は,専用ケースに入っており,裏面には図書の概略が記されていて内容が分かる。閲覧席が非常に多く配置されている。利用者は多いが,それでも席に余裕があるほどであった。これは他の階も同様である。

3階はノンフィクション中心である。また,地域資料を集めたLocal History & Archives(LH&A)の部屋もあった。ここの資料は基本的に閉架式で職員に出納を依頼する。棚には年代ごとに並べられたスクラップブックが多数あった。スクラップブックの中身は1970年代から2000年代にかけての地域の新聞記事などで,DDCで分類されている。その書棚の上には索引が置かれキーワードからも検索できる。ハミルトンでは,Internet Archiveと連携して,資料のデジタル化と公開も行っていた。4階は「サーキット4.0」と呼ばれている。地域内のさまざまな機関が回路のようにつながり,共同で活動する空間というコンセプトである。中央には広いイベントスペースがあり,当日もイベントの準備が進められていた。他にゲームルームやメーカースペースもある。メーカースペースには3Dプリンターなど多様な機器がそろい,講習なしで利用できる。職員が2名いて利用者をサポートしている。

この図書館で興味深い点をいくつか述べる。まず,4階には外国からの新住民を支援する「ニューカマー・ラーニング・センター」(Newcomer Learning Centre)があった28。これは州政府の予算で運営されている。主に永住者や難民認定を受けた人が対象である。最近は,ウクライナからの移民が多いとのことである。アメリカからの移住者もいるという。ここでは英語学習や市民権テストの準備に関するプログラムが行われている。多くのテーブルでは一対一の英語指導が行われていた。こうした指導で使われる教材は,それぞれの組ごとに,コーナーの一角に袋に入れられてまとめられていた。

1階の商業施設側の入口近くには,前述のように「コミュニティ・パートナー・デスク」がある29。ここでは,様々な専門的職員が曜日ごと,時間ごとに滞在し,市民に対応している。コーナーで配布しているチラシを見ると,ワクチン接種,家庭福祉,メンタルヘルス,医療へのアクセス,社会サービス,職探し,住居,新住民サポートなど,多様な分野の職員が交代で滞在していることが分かる。当日も,キャリアファンデーションという団体から求職対応のために職員が派遣されていた。こうした専門的職員は市,州,各種団体から派遣されている。

ピアサポートの取り組みも興味深い。バートン分館と同様,ここでもソーシャルワーカーが活動しているが,それに加えて2025年1月からはピアサポート事業が始まっている30。これはカナダ精神保健協会ハミルトン支部(CMHA Hamilton)との連携によるパイロット事業で,メンタルヘルスや依存症などの課題を抱える人を支援するものである。水曜と金曜にコミュニティ・パートナー・デスクや館内を巡回して利用者と関わっている。この事業のポイントは,かつて同じ経験を持った人がピアサポートワーカーとして雇われている点である。彼らは自らの経験とネットワーク(お互いよく知っている)を活かし,効果的に支援を行っているという。言うまでもなく図書館員はこうした問題の専門家ではない。しかし,現実として薬物中毒などの問題は日常的に図書館内で発生しており,ピアサポートの存在は図書館にとって大きな力になっているという。

  1. https://www.torontopubliclibrary.ca/parkdale/ ↩︎
  2. https://www.torontopubliclibrary.ca/books-video-music/specialized-collections/rita-cox-black-caribbean.jsp ↩︎
  3. https://en.wikipedia.org/wiki/Rita_Cox ↩︎
  4. https://www.cbc.ca/news/canada/toronto/programs/metromorning/musical-library-1.3524976 ↩︎
  5. https://www.youtube.com/playlist?list=PLOoGXG3zkTQhVj5WIEzSHXK0IXZZzL7IF ↩︎
  6. https://www.torontopubliclibrary.ca/new-to-canada/toronto.jsp ↩︎
  7. https://www.culturelink.ca/library-settlement-partnerships/ ↩︎
  8. https://www.torontopubliclibrary.ca/yorkville/ ↩︎
  9. https://www.torontopubliclibrary.ca/about-the-library/library-history/carnegie-yorkville.jsp ↩︎
  10. https://www.mississauga.ca/library/locations/hazel-mccallion-central-library/ ↩︎
  11. https://en.wikipedia.org/wiki/Hazel_McCallion ↩︎
  12. https://www.canadianarchitect.com/post-post-modern-hazel-mccallion-central-library-mississauga-ontario/ ↩︎
  13. https://www.mississauga.com/news/grand-opening-the-biggest-library-in-mississauga-to-open-feb-3-after-49-million-renovation/article_6e1cebe6-c360-528a-b668-64df6d5c8c8d.html ↩︎
  14. https://www.mississauga.ca/arts-and-culture/arts/public-art/digital-public-art/lightfall/ ↩︎
  15. ttps://www.mississauga.ca/library/locations/hazel-mccallion-central-library/rooms-and-features/ ↩︎
  16. https://www.youtube.com/watch?v=duowCg6gvuU ↩︎
  17. https://www.mississauga.ca/library/locations/hazel-mccallion-central-library/rooms-and-features/ ↩︎
  18. https://www.mississauga.ca/library/using-the-library/open-window-hub/ ↩︎
  19. https://www.mississauga.ca/library/using-the-library/newcomers/ ↩︎
  20. https://www.mississauga.ca/library/locations/burnhamthorpe-library/ ↩︎
  21. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%B5%E3%82%AC_(%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%AA%E5%B7%9E) ↩︎
  22. https://www.playaway.com/our-products/launchpad/apps-overview ↩︎
  23. https://mississauga.bibliocommons.com/ ↩︎
  24. https://www.hpl.ca/central ↩︎
  25. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3_(%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%AA%E5%B7%9E) ↩︎
  26. https://en.wikipedia.org/wiki/Hamilton_Public_Library ↩︎
  27. https://www.whitehots.com/ ↩︎
  28. https://www.hpl.ca/nlc ↩︎
  29. https://hpl.ca/articles/community-desk ↩︎
  30. https://www.hpl.ca/news/peer-support-workers-help-struggling-members-central-library%E2%80%AF%E2%80%AF%E2%80%AF%E2%80%AF ↩︎