インディアナ州の小規模自治体のウェブサイトを見ていると,ILSとしてエバーグリーンを使用しているところが多い。例えばサービス対象人口が927人のHENRY HENLEY PUBLIC LIBRARYでは,エバーグリーンを利用している1。エバーグリーンはオープンソースのILSとして有名なものである2。この背景には多くの図書館がエバーグリーン・インディアナ図書館コンソーシアムに参加していることが関係している。HENRY HENLEYのトップページの説明によると,このコンソーシアムには公共図書館だけでなく学校図書館なども参加していること,参加によってコスト削減とリソース共有が可能になることが説明されている。利用者向けインタフェースとしてはAspen Discoveryを利用している3。
実際にこの図書館のOPACで検索してみると,物理資料についてはコンソーシアム参加館の所蔵がまとめてヒットする。例えばJames Pattersonの『25 ALIVE』という図書は151点所蔵されていることが分かるが,これは当然HENRY HENLEY PUBLIC LIBRARYだけではなくコンソーシアム全体の数字である。さらにウェブ上から直接予約ができるようになっており,小規模自治体であっても多くの資料へのアクセスが可能になることが分かる。
この仕組みをもう少し詳しく見ていく。コンソーシアムは2007年にジョージア州のPINESを参考に構想され,翌年に実際にILS共有コンソーシアムが開始された4。運営はインディアナ州立図書館が中心となっており,参加している図書館システムは現在,100以上,図書館数は207館である5。利用者は共通のILSを使用し共通の利用券を使って資料を借用できる。
経費はLSTA及び参加館からの会費で賄われている。ちなみにHENRY HENLEY PUBLIC LIBRARYの負担金は0ドルである6。小規模図書館の中にはこうした例もある。州立図書館はサーバーの提供,システム運用のための人件費,ソフトウェア開発を負担している7。参加条件の詳細は明確ではないが,「In-Standards(基準内)」の認定を受けていることが求められている。これは州の図書館関連規則590 Indiana Administrative Code (IAC) 6に定められているものである。これをクリアすることは,Evergreen Indianaに限らず州,連邦からの支援を受ける条件にもなっている。日本で言えばかつての「最低基準」に近いものであり,図書館長の資格要件以外にも様々な要件が求められている8。
エバーグリーン・インディアは主に物理資料の共有を進めている。一方,電子資料については個別館で契約が異なるため,各館ごとのコレクションが表示されることになっている。ただし多くの館がIndiana Digital Libraryを利用しているため,その電子資料が表示されている。
オハイオ州立図書館にも同様の仕組み(SEOコンソーシアム)があった。図書館システムと目録を共有することで運営を効率化し,リソースを共有し,高度なサービス提供に結びつけている。この仕組みもLSTAの支援の行方や州立図書館の予算削減によって将来を楽観視できないが,州内における重要な取組であると感じた。日本でも決してできないことではないと考えるが,いかがであろうか。
- https://henryhenley.lib.in.us/ ↩︎
- https://en.wikipedia.org/wiki/Evergreen_(software) ↩︎
- https://henryhenley.evergreenindiana.org/ ↩︎
- https://evergreenindiana.org/?page_id=2809 ↩︎
- https://evergreenindiana.org/?page_id=2558 ↩︎
- https://docs.google.com/spreadsheets/d/1zBii4OtjveRdDnxYmtNGuiTPejVgGjND_1dqAXHAswA/edit?usp=sharing ↩︎
- https://www.in.gov/library/evergreen-indiana/ ↩︎
- https://www.law.cornell.edu/regulations/indiana/590-IAC-6-1-5 ↩︎