行ったところ(9/9 〜)

クローリー図書館

クローリー図書館は,ウェスト・サセックス郡のクローリーというディストリクトにある。クローリーはロンドンとブライトンのおおよそ中間に位置する。ウェスト・サセックス郡の人口は約90万人,クローリーは約12万人である1。図書館はウェストサセックス郡が運営している。郡内には36の図書館がある2。クローリーにはそのうち2館がある。ウェストサセックス郡の図書館の利用データは,情報公開請求に基づき公開されていた3。それによると,貸出点数は299万点(貸出密度は3.3),来館者数は223万人である。貸出点数と来館者数が比較的近い。クローリー図書館は,ウェストサセックス郡の中で貸出点数は3番目(236,592点),来館者数は1番多い(222,840人)。ACE等のデータをまとめたものは以下のとおりである。データに齟齬があるのは,データの取り方・時期によると思われる。

West Sussex 人口 図書館数 1館あたり人口 住民利用率 イベント開催回数(1館/1週間)
915,037 38 24,080 16.0% 4.2
イベント参加者数(1館1週間) 貸出密度 貸出密度(ebook含む) 来館者密度 1館あたりPC台数
96.6 3.3 3.4 2.3 8.4
* 表の出典等は「行ったところ(8/26〜)アイデアストア クリスプストリート」を参照のこと。

現在の建物は2008年に開館したもので,行政機関と同居している。館内は3つのフロアで構成され,2階(日本でいう3階)まで吹き抜けになっていた。今年が100周年ということで,それを祝う企画がさまざま行われていた4。グラウンドフロアは主にフィクションと児童室であり,カフェもあって賑わっていた。入口を入るとAmazonの受取用ロッカーがあった。自動貸出返却機,リクエスト図書の棚,新刊図書などがある。フィクションはロマンスや犯罪などに分けて排架されており,オーディオブックもあった。視聴覚資料の貸出は有料である。カウンター前にはスイス・コテージ図書館同様,カードやノート,しおりなどが販売されている。100周年を記念した文房具もあった。ティーンエリアもあり,マーベルのコミックなどが置かれていた。学校帰りの高校生のグループもいた。

階段を上がった1階には,15台ほどのPCが設置され,よく利用されていた。その横にはガラス張りの学習室がある。廃棄図書の販売コーナーもあり資料のタイプによって価格が異なっていた。通常の大人向けフィクションは1ポンドである。館内にレンガが展示されていた。これは道を挟んだところにあるクローリー・カレッジの学生によるものであった。この階にもカウンターがあり職員が配置されている。地域資料が充実しており,ウェブ上の情報も充実している5。吹き抜けを囲むように席が配置され,よく利用されていた。二人で語学を学んでいる人もおり,音読する声が館内によく響いていた。図書の分類はDDCで,その順番に並べられている。

3階には図書はほとんどない。ここは以前,参考図書館であったが現在はビジネスセンター,イベントスペース,学習エリアになっている。ビジネスセンターはBIPC Localと書かれている6。ここでは,会計士によるビジネスプラン作成支援やビジネスアイデアの相談などが毎週行われていた。訪問当日は就労支援の相談会が開催されていた7。学習エリアではPCで作業をする人や生徒のグループが見られた。

興味深かったのはクローリー・カレッジとの連携である。クローリー・カレッジは継続教育カレッジ(Further Education College)の一つで,職業専門学校的な教育機関である。カレッジのウェブサイトでは,カレッジの図書館よりクローリー図書館の方が設備が充実し,開館時間も長いため,学生に利用を勧めていた8。ただし,カレッジの図書館員はクローリー図書館に常駐し,カレッジの図書もここに排架されていることから,実質的にカレッジ図書館はあまり機能していないようであった。大学の図書は1階に排架され,図書には主題を示すアイコンのシールが付けられていた。

全体にとてもよく整備された図書館であった。カナダ・ウォーター図書館と同様に,レファレンスサービスの位置づけの変化が見られた点で興味深かった。

ウォキング図書館

サリー郡の図書館の一つで,ウォキング・ディストリクトにある9。サリー郡の人口は約120万人で,ウォキングの人口は約10万人である。サリー郡には54の図書館がある。日本でいえば都道府県レベルの図書館が一体的に運営されている,というイメージである。サリー郡の図書館の基本データは表のとおりである。貸出密度が比較的多い。図書館は駅からすぐ近くにあり,横にはジュビリー・スクエアという広場がある。周囲はショッピングモールや行政機関が並ぶ。街の中心的なにぎわいの場所である。

Surrey 人口 図書館数 1館あたり人口 住民利用率 イベント開催回数(1館/1週間)
1,248,649 60 20,811 14.8% 3.4
イベント参加者数(1館1週間) 貸出密度 貸出密度(ebook含む) 来館者密度 1館あたりPC台数
72.7 3.4 3.5 2.1 6.0
* 表の出典等は「行ったところ(8/26〜)アイデアストア クリスプストリート」を参照のこと。

道路に面した入口側は周辺の商業施設に馴染むようなガラス張りである。「Woking Library Plus」と書かれている。「Plus」は,サリー郡にいくつかある拠点図書館の一つであることを示している。より包括的なサービスを担う図書館という位置づけである。館内はワンフロアだが広い。絨毯敷きで木製の書棚が並び,落ち着いた雰囲気である。

入口を入ると,左側に販売コーナーがあり,カード,文具,ノートのほか,九九の表まであった。コピー機ではスマホからデータを送ってプリントもできる。入口脇には詩のクラブのメンバーによる詩が展示されていた。図書の展示が多くされている。「新しい図書」「今週の図書」などの他,「図書館からの推薦」(Woking Recomendation)では書店の新刊売り場のように複本を重ねていた。Quick choice コーナーには The Reading Agency の Quick Read が並んでいる。予約棚には多くの図書が並んでいた。

サリー郡は近隣の16郡と比べて貸出数が最も多い。次いで多いのはウェスト・サセックスである。こうした展示の工夫も利用を支えていると考えられる。開館時間延長の取り組みとして「スーパーアクセス」という名称で無人図書館が導入されている10。利用券をアップグレードすることで,職員不在時でも平日は20時まで利用できる(通常は17時半または19時まで)。サリー郡では9館が実施している。

図書館の真ん中あたりにPCコーナーがあり,20台ほど並んでいた。閲覧席もある。利用者が多く滞在していた。それ以外にも館内には様々な机,ソファ席もあるが,机でPCなどの作業する人が目立つ。4~6人用のPODも2室あり,ひとつは使用中であった。地域資料も提供されている。入口奥には児童コーナーがある。空間は区切られておらず,訪問時には子どもの声が響いていた。排架はDDC順ではなくテーマごとで,「Business & Law」といった大きなテーマが棚上に表示され,小テーマが棚差しのような形で示されていた。テーマ中の図書は類にこだわらない。図書の背表紙にはテーマとDDC番号が併記されている。

プログラムはライムタイムなど多くのものが実施されている。興味深いものとしては,旅行者向けのイタリア語講座(4回シリーズ)や,地域警察官と話す「Meet the Beat」などである。他にSIMカードの貸出も行われていた。これはIdea Storeと同様,GoodThings Foundationと連携して実施している。

興味深かったのは,サリー郡の「図書館および文化サービス戦略 2020~2025」(以下「戦略」)である11。これは,「Surrey 2030 ビジョン」の実現を支える計画の位置づけである。さきほどのスーパーアクセスもこれに基づく施策である。この計画はイングランドの図書館計画である「Libraries Delivery: Ambition for Public Libraries in England 2016 to 2021」を踏まえていることが示されている。Libraries Deliveryは,DCMSと地方自治体協会(LGA)の依頼でLibraries Taskforce(2020年で活動終了)が策定したものである12。「戦略」では人口動態やニーズを分析し,伸びている分野を強化する方針が示されている。データ分析では,サリー郡は貸出が多い一方で来館者は相対的に少なく,来館者を増やす余地があるとされていた。デジタル分野の強化や効率的運営もうたわれている。さらに,コミュニティ,福祉,文化を支えること,パートナーシップの拡大,図書館を3類型に分けて役割分担を明確にすること,といった方向性が示されている。

バービカン図書館

いろいろな人から行くことを勧められた図書館である13。この図書館はバービカンセンター内にある14。バービカンセンターはヨーロッパ最大級の文化施設の一つと言われている。図書館は公共図書館で,City of London にある。City of LondonはLondonの自治体の一つである。設置者はCity of London Corporationで,1237年にさかのぼる英国最古の都市(自治体)である。ロンドンの中心部に位置し,単に「シティ」とも呼ばれる。近隣には有名な金融街が広がる。住民は1万人弱だが,昼間人口は60万人を超える15。その点では,東京都の千代田区に少し似ている。City of Londonにはこの他,3つの図書館がある。City of Londonの図書館の基本データは表のとおりである。データの取り方の関係で,上記の説明の数値と多少,異なる点もあるが,アウトプットのすべての指標で顕著に利用が多い。これは基礎となる人口が少ないことと関係している。

City of London 人口 図書館数 1館あたり人口 住民利用率 イベント開催回数(1館/1週間)
15,111 6 2,519 110.0% 9.8
イベント参加者数(1館1週間) 貸出密度 貸出密度(ebook含む) 来館者密度 1館あたりPC台数
100.9 18.1 20.3 22.6 9.0
* 表の出典等は「行ったところ(8/26〜)アイデアストア クリスプストリート」を参照のこと。

図書館を含めてバービカンセンターはブルータリズム建築で有名である。ブルータリズムの図書館は以前にサウスノーウッド図書館を訪れたが,そこと比べると窓が少なく外光も抑えられている。館内は絨毯が敷かれ落ち着いた雰囲気で,高級感もある。サインなどが無造作に貼られているようなことはない。一般向けの図書館に加えて,児童図書館と音楽図書館があるが,今回は一般の図書館を中心に見学した。音楽図書館は専門的なサービスを展開している。

2階から入ると「Rivers and Roads」という絵画展が開催されていた。芸術作品の展示はバービカンセンターにあるこの図書館の強みであろう。中に進むとカウンターがあり,左手には「アートライブラリー」がある。DVDのコレクションが充実していた。カウンター奥には音楽図書館に通じる階段があり,大きなサイの人形が置かれている。右手には一般向けの図書が並んでいる。特集コーナーとして,イギリスで取り組まれているEast and South East Asian (ESEA) Heritage Month(東アジア・東南アジア文化遺産月間)があった。館内は静かであった。

図書は多くのロンドンの図書館と同様,カバーがかけられ,Due Dateのスリップが貼られていた。RFIDも付与されている。Due Dateに日付印は押されておらず,返却日はプリントアウトされた用紙で渡されている。分類はDDCが使われていた。フライヤーは「ヘルス&コミュニティ」や「市民インフォメーション」などでまとめられて掲示されていた。書棚は低めで,上からライトで照らされている。閲覧席では多くの人が読書をしていた。「ライブラリーオンライン」と呼ばれるコーナーには12台のPCが設置されている。ノートPCを広げる人も多く,タイピングの音を気にせず作業できる環境であった。

イベントで目を引いたのは男性向けの縫い物クラブである。チラシには「He knits」と記されていた。通常,縫い物クラブは女性が集まるが,あえて男性に焦点を当てている点が興味深い。高齢男性を呼び込もうとしているように感じた。開催は毎月1回で,1.5時間のプログラムである。もう一つ興味深い取り組みは「Memory Boxes」である16。日本で「回想法」として知られているものである。チラシでは,「記憶を呼び覚まし,過去についての会話を促すこと」が目的とされている。テーマは第二次世界大戦,1950年代,1960年代,1970年代,1980年代,ロンドン,娯楽,趣味と家庭,旅行と休日の9つに分かれている。ボックスは開架されておらず,利用するには図書館員に依頼する必要がある。貸出期間は3週間であった。

ケンサル・ライズ図書館

ブレント区にあるいわゆるコミュニティライブラリーである17。元々は1900年に開館した図書館で,アンドリュー・カーネギーの支援を受けて建てられた18。その後,2011年に区の財政状況悪化により閉館となったが,2019年にコミュニティに移管されて再び開館した。閉館時には著名作家等による反対運動が展開され,なんとペット・ショップ・ボーイズも反対に加わっていた。反対運動はガーディアン,BBC,インデペンデント誌でも報道されている19。閉館後,土地の所有者であったオックスフォード大学オールソウルズカレッジが,図書館スペースを無償で貸与することを条件に建物を売却しており,施設使用の経費は不要となっている。

現在は区から完全に独立して運営されており,慈善団体であるケンサル・ライズ図書館友の会(FKRL)が管理している。開館日は水曜日から土曜日の主に午後であり,週20時間ほどの開館である。図書館は2015年に改修され,外観も内部も古さを感じさせない。図書館内はワンフロアのこじんまりとした空間である。カウンターに2名のスタッフがいたが,いずれもボランティアであった。館長は雇用されているが,他は基本的にボランティアによって支えられているようである。公立図書館だった頃は上のフロアも使われていたが,現在はフラット(アパート)になっているという。訪れた際には3名の利用者が滞在していた。一人はPCで作業を,二人は語学の勉強をしていた。イベントとして,ヨガ教室や乳幼児向けのクラスなどが開催されている。

図書館に入るとすぐに,マーク・トウェインが開館に関わったことを記すプレートが目に入る。図書館内には大きな丸い照明があり明るく新しさを感じさせる。図書はバーコードで管理され,Due Dateが貼られている。入って右側には児童コーナー,左側には一般書と閲覧席がある。奥にはPCが数台置かれている。特集コーナーには村上春樹やアレン・ギンズバーグの図書,『ペルセポリス』やBanksyの図書などが並び,かなり渋い選書であった。また,ブレント区から移管されたと思われる外国語の図書も見られた。

FKRLの収支情報は慈善団体の登録簿のサイトで公開されている20。それによると,理事は10名,ボランティアは30名である。2023/2024年度の収入は44,588ポンド,支出は40,396ポンドであった。日本円に換算すると収入はおよそ900万円弱である。過去には政府からの補助金を受けていた時期もあるようだが,直近では20万円程度にとどまっている。投票所などとしても使われているため,そうしたことの収入かもしれない。ウェブページからは収入源として寄付や施設貸出などが読み取れるが,それだけで4万ポンド以上を集めることが可能かよく分からない。

地域に根ざした伝統ある図書館を,区からの支援がない中,コミュニティで維持している点は興味深い。歴史を感じさせる建物,気持ちのよい空間,セレクトされた図書,各種イベントなど,地域の人の相当な関わりがないと維持できないと思われる。施設が無償で貸与されていることも維持に大きく貢献していると思われる。

ダゲナム図書館&ファミリーハブ

ロンドン東部のバーキング・アンド・ダゲナム区にある。駅から続く商店街の端にある。入口には「ダゲナム図書館」と書かれている。ガラス張りの近代的な建物で,気軽に入りやすい。公式ウェブページには「ダゲナム図書館&ファミリーハブ」と表記されている。この図書館は,図書館ハブ化の代表例の一つである。区の図書館は,英国ブックインダストリーの2016年ライブラリー・オブ・ザ・イヤーを受賞している21。政府の報告書「An Independent Review of English Public Libraries」でもこの区の事例が紹介されている22。一方で,2014年までに4館を閉鎖するなど,図書館縮小の波も避けられなかった。職員数も一時71人から37.1人に減ったが,その後は72人に戻っているという。バーキング・アンド・ダゲナム区の図書館の基本データは表のとおりである。住民利用率(図書館資料の利用の有無)や貸出密度は低い。しかし,来館者密度は高い。図書館内の関連施設への訪問が多いと考えられる。なお,イベントのデータは取得していないようである。

Barking and Dagenham 人口 図書館数 1館あたり人口 住民利用率 イベント開催回数(1館/1週間)
232,747 12 19,396 3.7% 0.0
イベント参加者数(1館1週間) 貸出密度 貸出密度(ebook含む) 来館者密度 1館あたりPC台数
0.0 1.0 1.1 3.3 8.2
* 表の出典等は「行ったところ(8/26〜)アイデアストア クリスプストリート」を参照のこと。

図書館に入ると,この日は土曜日だったが地元の著者を招いた読書フェスティバルが行われていた。各著者が机に著書を並べ,来場者と交流していた。また,順番にマイクの前に立って朗読などが行われていた。「日本が好き」というLucia Morciano氏は英語で作った俳句作品や和綴じのノートを販売していた。グラウンドフロアは入ってすぐにファミリーハブがある。乳幼児から18歳までの子どもを持つ家族を支援する機関である。これはサットン中央図書館でも見たもので図書館への設置が進んでいる。入口入って右手には「ファミリー&マネーハブ」と「フード・クラブ」の部屋がそれぞれある。吹き抜けで開放的な空間となっている。奥には児童室がある。階段下に小さなカウンターがあり,図書も排架されているが少ない。

階段を上がった1階にはフィクションを中心とした蔵書が並び,グラフィックノベルもあった。窓際には閲覧席(Quest Study)がある。隣には多くのPCがありよく利用されていた。CGP社の学習参考書もあった。この階にも,個室が4部屋ほどあり,ミーティングルームと呼ばれている。一つの部屋ではプログラムが実施されていた。この階の資料も多くない。この図書館は区にある2つの主要図書館のうちの一つだが,蔵書数は少ない。なお,この区はTLCに加盟している。

この図書館の特徴は,図書館の機能よりもイベントやプログラムの充実にある23。乳幼児の母親支援,移民サポート,マネーアドバイス,住宅修理相談,児童向けの遊びや歌,物語の時間,NHSと連携した健康プログラム,ヨガ講座,障害者のデジタル支援,幼児の読書育成などが行われている。そのほか,地域の団体によってフードクラブ,リトアニア語講座,LGBTQ関連のプログラムなども行われている。

これらのプログラムは,福祉,移民・難民支援,家庭支援などインクルーシブな性格を持つものが多い。グラウンドフロアや1階の多くの部屋が,それを支える基盤となっている。このように図書館をコミュニティのハブとする方向性は,英国の新しい流れの一つである24。研究でも,この方向性を支持し,キャンペーンの重要性,予算の確保,職員の専門能力向上の必要性が指摘されている25。ワンストップで様々な支援を受けられる意義は確かに大きい。また,図書館削減の時代にあって,多機能化は生き残り策の一つであることも間違いない。ただし,図書館としての本来的機能が十分確保されているかは議論の余地がある。

ケンジントン中央図書館

ロンドン中心部のケンジントン・アンド・チェルシー区にある26。建物は歴史を感じさせ,格調高い。そして,とても天井が高い。スイスコテージ図書館同様,指定建造物になっている27。ここは,1960年にやはりエリザベス女王臨席のもと開館している。ケンジントン・アンド・チェルシー区の図書館の基本データは表のとおりである。イベント参加者数が多い。それとも関係するのか,来館者密度も高い。

Kensington and Chelsea 人口 図書館数 1館あたり人口 住民利用率 イベント開催回数(1館/1週間)
144,518 6 24,086 14.7% 6.1
イベント参加者数(1館1週間) 貸出密度 貸出密度(ebook含む) 来館者密度 1館あたりPC台数
131.2 2.3 2.4 4.1 17.0
* 表の出典等は「行ったところ(8/26〜)アイデアストア クリスプストリート」を参照のこと。

図書館に入ると多くの図書の展示がある。マーベルのコミックもある。これは18歳以上と表示されていた。また,英国であまり見なかったボードゲームを数多く所蔵している。グラウンドフロアの書架にはフィクションが多く並ぶが,一般書も多い。奥には児童室があり,その手前にはティーンコーナーがあった。そこにはGCSEのStudy Guideが多く所蔵されていた。GCSEは中等義務教育修了試験(General Certificate of Secondary Education)のことで,大学入学準備コースに進む際の入学の可否や,就職の際に履歴書に記載する試験である。日本では学習参考書を図書館で提供することは少ないが,ここでは充実していた。

階段を上った1階は参考図書室である。多くの閲覧席が並び,PCを利用する人やノートPCを利用する人が多く見られた。滞在中,図書を利用する人はほとんどおらず,閲覧席で作業する人がほとんどであった。奥にはPODがあった。利用は1時間10ポンドで,それなりの値段であった。図書館主催のプログラムで興味深かったのは,まず「DJ Basics」というコースがある。これは,DJの基礎を5週間で学ぶというものである。また「ビジョンボードを作ろう」は自分の目標を視覚化するために,リフレクティブ・ライティングやビジョンボードの作り方を学ぶ講座である。「ソーシャルスキルのためのソーシャルメディア」は,5週間にわたり各種のプラットフォームのサービスなどを学ぶものであった。図書館主催ではあるが,内容はかなり幅広い。

以下,興味深かった点を二つ挙げたい。第一は,周辺区との業務統合の試みである。ケンジントン・アンド・チェルシー区では,2011年以降,周辺のハマースミス・アンド・フラム区及びウェストミンスター区と図書館を統合的に運営することを目指していた28。これは2010年以降の地方財政縮小に対応するためで,3区の業務統合は図書館を含め多くの政策領域でも試みられた29。3区の協定は,Tri-borough協定と呼ばれた。サービス,バックオフィス,管理コストの統合で節約効果は3,340万ポンド(現在レートで約65億円)と予想されていた。図書館分野では,図書館システムの統合,組織統合による管理職ポストの削減,利用者カードの統一,デジタルサービスの共通化など,かなり統合度の高い仕組み作りを目指していた。期待される節約効果は約111万ポンド(約2億円)である30。当時のデイビッド・キャメロン首相は Tri-borough を支持し,サービスを縮減する前にまずはこうした取組をするべきで,全国にも広げるべきと発言していた。

しかし2017年,ハマースミス・アンド・フラム区が離脱しTri-boroughの試みは失敗している。その後も図書館分野の連携は続いていたようだが,2022年にハマースミス・アンド・フラム区が TLC に加入して完全に解消された31。TLCの統合度は Tri-borough と比較して低い。Tri-borough 解消の理由としては,ハマースミス・アンド・フラム区が労働党政権に変わり足並みがそろわなくなったこと,財政状況は技術的な取組で解決できるレベルになく,より根本的な業務の取捨選択が必要になったことなどが挙げられている32。このことは,節約効果は限定的であり,団体自治が優先されるべき状況だったともいえよう。

第二に,英国のレファレンス・ライブラリーについてである。海外におり文献を確認できないが,1960年代以降の日本の図書館発展においては,英国のレンディング・ライブラリーがモデルになった一方で,レファレンス・ライブラリーは十分に顧慮されなかったと言われていたように記憶している。こうしたことで,英国のレファレンス・ライブラリーには関心を持っていた。実際に目にしたケンジントン中央図書館では,閲覧スペースが広くとられており,それを取り囲むように図書が排架されていた。そして図書は貸出不可になっていた。「Not For Loan」と書かれた紙がDue Dateの代わりに見返し部分に貼られている。排架されている図書は典型的なレファレンスブックだけではなく,専門的な図書も含まれていた。

ケンジントン中央図書館の近くにはウェストミンスター区のウェストミンスター・レファレンス図書館がある33。名称はレファレンス図書館だが,実際にはグラウンドフロアの開架資料は貸出をしている。図書館員の説明ではかつては確かにレファレンス図書館だったが,今は名称だけが残っているとのことであった。ケンジントンではまだ続いているが,かつてのレファレンス・ライブラリーは通常の図書館に切り替わりつつあること,そのスペースは学習や仕事などの作業をする場所へと変化している印象を持った。

アイデアストア ホワイトチャペル

タワーハムレッツ区の図書館の一つである34。アイデアストアの中で最も有名な図書館なのではないだろうか。平日の夕方に行ったところ,図書館の前は野菜,魚,日用品などを売る屋台が出ており賑わっていた。この地域はバングラデシュ人が35%近くを占める地域である35。アイデアストアの取組はすでに触れているので,ここではそれと重ならない点を中心にまとめる。

入館してまず気づくのは赤い床である。伝統的な図書館のようなクラシカルな雰囲気ではない。多様な人が入りやすい工夫である。カウンターは入口近くにある。一人用のソファ席もあり,ほとんど埋まっていた。グラウンドフロアにはフィクションやグラフィックノベルなどが排架されている。多くの図書が表紙を見せて展示されている。予約図書の受取コーナーには多くの本が置かれていた。利用が多い証拠である。特集展示も多い。テーマとして,「Banned Books」「文学賞の受賞作品」「すぐ読みたい図書(Dying to Read)」「国際民主主義デー」「オーガニックセプテンバー」「世界ツーリズムデー」などがあった。記念日にあわせて企画されるものが多い。1か月程度で入れ替えているという。スタッフの推薦図書には一冊ごとにポップが付けられていた。この階にはテイーンズと児童の部屋もある。そこにはアートクラブのギャラリーやレゴクラブの作品展示があった。

1階は一般向けのノンフィクションで,DDC順に排架されている。バングラデシュ系住民の多さを反映して,ベンガル語のフィクションとノンフィクションがある。他にソマリア語の図書も見られた。オーディオブックや大活字本も揃っている。様々な講座などが開催されるラボは各階にあるが,ちょうど新学期の開始前だったためいずれも静かであった。この階にはダンススタジオも併設されている。2階はDVDやCDなど視聴覚資料があり,ボリウッド映画も置かれていた。3階はPCなどを利用するスペースで,多くの席が埋まっていた。プリンターやスキャナーもある。

図書館のイベントとしては,レゴクラブ,宿題クラブ,芸術クラブ,お話の時間などがあった。他のアイデアストアと同様の活動も見られた。「プライムタイム」というプログラムは毎週1回開かれているもので,映画鑑賞,植物園訪問,クイズ大会など週ごとに活動が変わるもので,知り合いや新しい人と出会う機会を提供している。さらに,Flow Happy という団体と連携して生理用品の無料配布も行われていた。

スイス・コテージ図書館

カムデン区の中央図書館である36。1964年に建設され,昨年で60周年を迎えた37。開館時にはエリザベス女王が臨席し,建物はイングリッシュ・ヘリテージの指定建造物となっている。この指定は,特別な保護に値する建築的あるいは歴史的建築物が受けるものである。すぐ近くには春になると桜が咲く名所がある38

入口を入って階段を上るとアトリウムがあり,ここが1階である。前にはフィクションなどの「貸出図書館」が,後ろには一般書を中心とした「参考図書館」がある。名称は一応そうなっているが,実際には文学書のコーナーと一般書のコーナーである。建物は両端に書架が並ぶ空間があり,その間にアトリウムがあったり,PCコーナー,カフェ,閲覧室などが配置されている。カフェは小さいが個人経営の味のある雰囲気であった。アトリウムの横は児童室である。2階へは螺旋階段で上ることができる。そこにはアートや音楽など人文系の図書などがある。書架は壁際に配置されるとともに,空間を仕切るようにも配置されていた。そのため,書棚の中に書斎のような空間ができていた。さらに,Business information hubが設けられビジネス情報を提供していたり,Library of Thingsなどもあった。館内は静かで,書架の間の閲覧席には数名ずつ利用者が座っていた。

興味深い取組をいくつか述べる。まず,さまざまな講座が開かれていた。訪問した際は,ビジネス関連の講座が開かれていて,20名ほどの市民がディスカッションをしていた。また,議員が定期的に図書館に来ている。この図書館には毎月第3水曜日に訪問している。また,アトリウムにあるギャラリーの将来の活用について利用者の提案を付箋で集めていた。カウンター近くには贈答用の紙袋やカード類が販売されており,実際に購入していく人も見られた。イギリスでは,カードの専門店をよく見かける。はじめて見たときにはトレーディングカードかと思ったがそうではなかった。あと,館内にスクーターの利用禁止の掲示が多くされていた。そういう人がいるのであろう。

高齢者向けの取組が充実していたことも印象的であった。入口には「Reading Well for dementia」のポスターが掲示されていた。これはThe Reading Agencyと連携した取組で,認知症の人のために専門家が選んだ図書を提供するものである39。図書の一覧はThe Reading Agencyのサイトで入手可能である。また,回想法に基づくMemory Boxの提供も行われていたが,その資料の寄贈を呼びかけていた。確かに,昔の写真やものを集めるのは,なかなか大変であろう。1階の参考図書館の入口には小さな認知症コーナーが設けられ,関連情報がファイルにまとめられて提供されていた。こうした高齢者向けの取組を積極的に行っている背景には,地域における高齢者の増加があるとのことだった。

クロイドン中央図書館

クロイドン区が非常な財政難であることは,サウスノーウッド図書館の紹介で書いたとおりである。理由は,区による不動産投資の失敗と不適切な財務管理と報道されている40。中央図書館は駅周辺の賑やかな場所のすぐ近くにあり,クロイドン時計塔と呼ばれる歴史ある建物の奥にある41。図書館自体は1993年に開館し,2010年には国内で3番目に貸出点数の多い図書館であったという42。2025年9月中旬まで,1階部分が改装中であった。

図書館内は,まず,グラウンドフロアにカウンターがある。この階には児童室もある他,Quick Choice,予約資料の受取,自動貸出返却機などもある。一応のことがここで済むようになっている。入口入ってすぐの場所で,ある程度のことができるようになっているのは,他の英国の図書館でもよく見られる。カフェもあり,広々としているので何度か作業させてもらった。なお,図書館の入口付近には,クロイドン・カウンシルとNHSクロイドンの出張所があり,行政や保険・医療の相談をすることができる。

1階は改装されたフロアである。フィクションの他,多様な資料が並んでいる。また,フロア中央にはPC18台,閲覧席などがある。PCはワードや動画を観る人などで多くが埋まっている。閲覧席ではノートPCやスマホを利用する人いた。この階にはMeeting roomという小さな会議室もある。また,Pod Cast Roomがある。カウンター横には,白い壁に囲まれた5メートル四方の空間があり,クロイドンの歴史を映像で紹介している。訪問時は1985年にあったクライストチャーチ火災の映像が流れていた。多言語図書も豊富にある。タミル語,パンジャブ語,グジャラート語,ヒンディー語,ウルドゥー語,ベンガル語,マラーティー語,マレー語などの言語の図書であった。2階は一般書が中心であった。この階にもフロア中央に多くの席がある。ここの滞在者は多く,スマホやノートPCを使う人がいた。

クロイドン区の苦境は中央図書館でも感じられる。図書館には3階もあるが,エレベーターが停止され,昇れないようになっていた。かつては新聞などの閲覧席があったようだが,新聞記事によると5月以降閉鎖されているという。クロイドンでは4つの図書館が閉鎖されたことはすでに述べた43。このことは,BBCでも報道されており,市長は図書館利用者が市民の10%であることを主張している。しかし新聞記事は,多くの図書館の開館日が週2〜3日程度に限られていたことが影響しているという市民の声を紹介している。詳細は分からないが,投入するリソースを絞ってサービスを縮小し,利用が減少した後に利用が少ないことを理由に削減をするというのは,英国に限られない。

ちなみに閉鎖された4館のうちの一館では,閉鎖後に不法占拠者が図書館内の図書を外に捨てたことが改めてBBCなどで報道された44。わずか15年ほど前には全国的に活発な活動をしていた図書館が,急速に状況を悪化させているのは悲しいことである。

ジョン・ハーバード図書館

サザーク区にある45。ブロムリー区の図書館の基本データは表のとおりである。イベント開催数,参加者数,来館者密度などがかなり多い。この図書館は分館である。名称はハーバード大学を設立したサザーク出身の牧師,ジョン・ハーバードにちなんでいる。2009年に改修され,施設は現代化されている。奥にはサザークアーカイブがあるが46,訪問日は閉室していた。

Southwark 人口 図書館数 1館あたり人口 住民利用率 イベント開催回数(1館/1週間)
314,786 16 19,674 10.0% 9.3
イベント参加者数(1館1週間) 貸出密度 貸出密度(ebook含む) 来館者密度 1館あたりPC台数
101.6 3.0 3.3 4.8 11.3
* 表の出典等は「行ったところ(8/26〜)アイデアストア クリスプストリート」を参照のこと。

図書館を入ると,手前に大きなカフェがある。ロンドンでいくつか展開しているマウステールというカフェである47。平日の夕方ということもあってかお客さんはひっきりなしに来ていた。テイクアウトの人も来るようである。カフェ前の座席には多くの人が滞在している。グループで話をする人やPCで作業する人などがいた。かなり賑やかである。壁際には旅行書や新しく入った図書が展示されている。利用するにはテーブルに座っているひとをよけなければならず利用しづらいが,コーヒーを片手にちょっと手に取るのにはちょうどよいのかもしれない。

図書館の中程にカウンターがある。その前には児童コーナーがある。コーナーの規模は大きくない。訪問時は学校帰りの親子連れで賑わっていた。大人向けのコーナーでは,図書がジャンルごとに排架されていた。Black Writing や LGBT といった棚も設けられ,最上段は面陳用になっていた。奥には閲覧席や14台のPCコーナーがあり,作業する人が多くいた。全体に利用者は多く,カウンターには7,8人が並ぶこともあった。イベントも様々に行われており,ロンドンを拠点に活動する作家によるオーサートークなどが予定されていた。

興味深かった点を二つ挙げたい。まず,図書館自体は大きくないにもかかわらず,カフェにかなりのスペースを割いていることである。日本でもスターバックスなどが入る図書館はあるが,ここでは面陳された図書をカフェの中に展示するなど,図書館とより「融合」している印象を受けた。コーヒーを飲みながら作業をするには適した空間である。ワンズワース・タウン図書館の計画でもこうした「作業できる場所」が利用者ニーズの上位に挙がっていたことを考えると,確かにこうしたスペースが求められているのかもしれない。一方で,音の問題や図書館スペースの縮小,公共空間の商業化といった懸念の声もある48。カフェの料金はアメリカーノで3.8ポンド,日本円で約760円である。

もう一つは図書の排架方法である。背表紙を見ると図書にはDDCの分類番号が付与されている。同時に上にジャンル名が書かれており,実際にはジャンルごとに排架されていた。そのため,例えば社会科学の棚には070,155,158,301,746,790といった多様な分類番号の本が並んでいる。図書館員によると,こうしたジャンル別排架はサザーク区の他の図書館でも採用されているとのことである。日本でもNDCを使うか,ジャンル別にするか議論があるが,ここでは利用者のわかりやすさを優先しているようであった。

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Crawley, https://en.wikipedia.org/wiki/West_Sussex ↩︎
  2. https://arena.westsussex.gov.uk/our-libraries ↩︎
  3. https://www.whatdotheyknow.com/request/library_usage_data_20242025_sout ↩︎
  4. https://arena.westsussex.gov.uk/centenary ↩︎
  5. https://arena.westsussex.gov.uk/-/crawl-1 ↩︎
  6. https://arena.westsussex.gov.uk/-/bipc-sussex ↩︎
  7. https://investcrawley.co.uk/employment-and-skills/employ-crawley-residents ↩︎
  8. https://www.crawley.ac.uk/college-life/our-campus/library-services/ ↩︎
  9. https://www.surreycc.gov.uk/libraries/your-library/find-your-nearest/woking ↩︎
  10. https://www.surreycc.gov.uk/libraries/your-library/modernisation/super-access-in-surrey-libraries-extended-opening-hours ↩︎
  11. https://www.surreycc.gov.uk/libraries/your-library/modernisation/programme ↩︎
  12. https://www.gov.uk/government/publications/libraries-deliver-ambition-for-public-libraries-in-england-2016-to-2021/libraries-deliver-ambition-for-public-libraries-in-england-2016-to-2021 ↩︎
  13. https://www.barbican.org.uk/your-visit/during-your-visit/library ↩︎
  14. https://www.wikiwand.com/ja/articles/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC ↩︎
  15. https://www.cityoflondon.gov.uk/about-us/about-the-city-of-london-corporation/our-role-in-london ↩︎
  16. https://www.cityoflondon.gov.uk/services/libraries/libraries-and-wellbeing/memory-boxes ↩︎
  17. https://kensalriselibrary.org/about-us/ ↩︎
  18. https://en.wikipedia.org/wiki/Kensal_Rise_Library ↩︎
  19. https://www.theguardian.com/books/booksblog/2011/oct/14/kensal-rise-library-closure-how-the-protests-began, https://www.bbc.com/news/uk-england-london-15285836 ↩︎
  20. https://register-of-charities.charitycommission.gov.uk/en/charity-search/-/charity-details/5017988 ↩︎
  21. https://www.barkinganddagenhampost.co.uk/news/20924129.excellent-dagenham-library-nominated-prestigious-prize/ ↩︎
  22. https://www.gov.uk/government/publications/an-independent-review-of-english-public-libraries-report-and-government-reponse/an-independent-review-of-english-public-libraries ↩︎
  23. https://tockify.com/lbbd.events/pinboard ↩︎
  24. https://www.artscouncil.org.uk/sites/default/files/download-file/Libraries-CommunityHubs-Renaisi.pdf ↩︎
  25. https://doi.org/10.1186/s12889-024-18535-5 ↩︎
  26. https://www.rbkc.gov.uk/libraries-0/your-local-library/kensington-central-library ↩︎
  27. https://en.wikipedia.org/wiki/Kensington_Central_Library ↩︎
  28. https://web.archive.org/web/20150627210016/http://www.rbkc.gov.uk/leisureandlibraries/libraries/tri-borough.aspx ↩︎
  29. https://en.wikipedia.org/wiki/Tri-borough_shared_services ↩︎
  30. https://democracy.lbhf.gov.uk/mgAi.aspx?ID=6596 ↩︎
  31. https://www.westminster.gov.uk/leisure-libraries-and-community/libraries/latest-updates/updates-westminster-and-kensington-and-chelsea-libraries-shared-borrowing-arrangement ↩︎
  32. https://www.publicfinance.co.uk/opinion/2017/05/why-did-triborough-fail ↩︎
  33. https://www.westminster.gov.uk/leisure-libraries-and-community/libraries/westminster-reference-library ↩︎
  34. https://www.ideastore.co.uk/visit-us/idea-store-whitechapel ↩︎
  35. https://www.towerhamlets.gov.uk/Documents/Borough_statistics/Tower-Hamlets-Borough-Profile-2024.pdf ↩︎
  36. https://www.camden.gov.uk/swiss-cottage-library ↩︎
  37. https://en.wikipedia.org/wiki/Swiss_Cottage_Library ↩︎
  38. https://www.camden.gov.uk/swiss-cottage-library ↩︎
  39. https://readingagency.org.uk/get-reading/our-programmes-and-campaigns/reading-well/reading-well-for-dementia/ ↩︎
  40. https://www.theguardian.com/society/2020/nov/11/croydon-council-in-london-bans-spending-over-66m-budget-hole ↩︎
  41. https://www.croydon.gov.uk/libraries-leisure-and-culture/libraries/find-your-library/central-library ↩︎
  42. https://insidecroydon.com/2025/05/14/perry-closes-down-entire-floor-of-flagship-central-library/ ↩︎
  43. https://www.bbc.co.uk/news/articles/cvg117gdky1o ↩︎
  44. https://www.bbc.co.uk/news/articles/cj6yxy6pwjgo ↩︎
  45. https://www.southwark.gov.uk/culture-and-sport/libraries/find-library/john-harvard-library ↩︎
  46. https://www.southwark.gov.uk/culture-and-sport/local-history-and-heritage/southwark-archives ↩︎
  47. https://www.theinfatuation.com/london/reviews/mouse-tail-coffee-at-john-harvard-library ↩︎
  48. https://www.barnflakes.com/blog/2015/07/london-libraries-5-john-harvard.html ↩︎