オンタリオ図書館サービスによる研修

オンタリオ図書館サービス(OLS)では,人材育成の面でいくつかの研修メニューを用意している1。大きな柱は,認定プログラムであるAPILLとEXCELである。これ以外に,パートナープログラムとして,他団体の研修メニューなども紹介している。そうしたものとして,Center for Equitable Library Access(CELA)によるプリントディアビリティ関連研修などがある。研修のうちオンラインで提供されるコースは,LearnHQというLMSで運用されている。

EXCELは,もともと OLS が合併する以前から,南オンタリオ図書館サービス(SOLS)が1987年以降,実施してきた研修プログラムである。正式名称はEXCEL認定プログラム(EXCEL Certificate Program)である。このプログラムはいつでも開始することができる。対象者は,現にオンタリオの公共図書館に勤務しており,カレッジや大学院で図書館情報学の学位を取得していない人である。認定を得るには,登録後5年以内に10コースを修了する必要がある。10コースのうち,必修が6で選択が4である。それぞれのコースは複数のモジュールで構成されており,修了のためにはクイズと課題を完了する必要がある。課題は講師により採点される。また,講師には質問をしたりフィードバックを得たりすることができる。

必修科目は2,公共図書館入門,レファレンス・情報サービス,公共図書館におけるコレクション構築,公共図書館事業(プログラミング),公共図書館の最前線スタッフのための顧客サービスの基本,図書館の管理と監督から構成される。選択科目は,公共図書館マーケティング,コレクションの組織化,図書館サービス戦略計画,公共図書館向け読書相談,公共図書館における地域アウトリーチ,公共図書館における家族のリテラシーから構成される。

日本の司書課程の科目と比較すると類似するものもあるが,異なるものも見られる。特に,日本の司書課程に見当たらないものとしては,必修科目では「公共図書館事業(プログラム)」,「公共図書館の最前線スタッフのための顧客サービスの基本」の基本がある。図書館で実施する事業(プログラム)は,欧米で近年,重視されているが,日本ではあまり取り組まれていない。もう一つの「顧客サービスの基本」は,接遇と重なる部分はあるが,利用者中心のサービス設計を志向している。選択科目では,「公共図書館向け読書相談」,「公共図書館における地域アウトリーチ」,「公共図書館における家族のリテラシー」などが挙げられる。いずれも関係する司書課程の科目はあるが,焦点が少しずれている。

この研修の受講者数は公式ウェブに記載がない。しかし,SOLS時代には,1,000名以上が受講したとの報告もある3。多くの図書館員が受講している。また,図書館によっては,このコースの受講を必須としているところもある4。ただし,職員採用でこの認定を条件としているところは見つけられなかった。ポジションによってカレッジや大学院の図書館情報学関連の学位を要件とするところがあり,その際,「同等の教育・経験を求めると」の記述が見られる。そうしたものとして考慮される可能性はあるが,はっきりしたことは分からない。日本でも,日本図書館協会や国立教育政策研究所などが研修を提供している。しかし,誰もが思い立ったときにオンラインで体系的な研修を受講できるようというのはよい仕組みである。

  1. https://www.olservice.ca/consulting-training/training ↩︎
  2. https://www.olservice.ca/excel-list-of-courses ↩︎
  3. https://open-shelf.ca/200706-sols-helps-libraries/ ↩︎
  4. https://www.haliburtonlibrary.ca/Media/Library-Sites/Haliburton/Files/HCPL-Policies/Procedural/PRO-01-Staff-Training-Policy_Ac20230623 ↩︎