Lickingの図書館では,非常に多くのオンラインデータベースを提供している1。種類ごとにいくつかのカテゴリに分類されているが,全体を数えると72もあった。EBSCO,Gale Database,ProQuest Database,Ancestry Library Edition,WorldCat,PubMedなど,広く知られているものも多い。無料で利用できるものもあるが,有料のものも多い。また,ほとんどは図書館外からアクセスできるようになっている。
決して大規模とはいえないLickingの図書館が,なぜこれほど多くのデータベースを利用できるのか。言うまでもなく,有料のデータベースを図書館が契約する場合,少なくない予算が必要となる。その答えは,オハイオ州の支援体制にある。州ではOPLINという組織が州全体でオンラインデータベースを契約し,すべての公共図書館で利用できるようにしている。図書館を通じて州民が行う調査研究の基盤を支えているわけである。先ほどのLickingでも,有料のデータベースの多くはOPLINによる契約データベースである。
OPLINとは,The Ohio Public Library Information Networkの頭文字をとったものである2。1994年に現場の図書館長の声を踏まえてオハイオ図書館協議会(OLC)が計画し,1995年に活動を開始した3。目的は,州民が図書館を通じて世界中の情報に公平にアクセスできるようにすることにある。活動としては,回線の整備と公共図書館向けのデータベース提供が中心で,組織運営の面ではオハイオ州立図書館の支援を受けている。
OPLINの活動をもう少し詳しく述べると,データベース契約以外に4,ネットワーク接続の提供,図書館ウェブサイトを構築するためのウェブキット提供,サーバ管理などがある。ウェブキットは多くの公共図書館で採用されているため,ウェブサイト画面が類似の図書館は多い。また,利用者認証(EZproxy導入支援)やILSによるSMS通知といった細かなサービスも支えている。さらに,OPLINはConnect Ohio(LCO)のパートナーであり5,LCOを通じて学校図書館(INFOhio)や大学図書館(OhioLINK)とも連携している。
OPLINの予算と支出について少し古いが2019年のものが公開されていた6。そこでは,予算の内訳としてPLFが70%,E-rate7の償還金が29%を占めていた。州および連邦の資金が中心であり,カウンティなどの資金は用いられていない。支出を見ると,データベース関連が全体の40%となっていた。日本でOPLINのような組織を立ち上げたり,データベースの一括契約をしたりするとすれば,都道府県立図書館が候補となるのかもしれないが,こうした組織を維持し,予算を安定的に確保することは,現実にはかなり難しいかもしれない。とはいえ,図書館の規模に関わらず市民が世界中の情報に公平にアクセスできるようにすることの意義は大きい。
- https://www.lickingcountylibrary.org/services-research/online-research-databases/ ↩︎
- https://www.oplin.ohio.gov/what-is-oplin ↩︎
- https://current.ndl.go.jp/ca1234 ↩︎
- https://www.oplin.ohio.gov/services ↩︎
- https://www.oplin.ohio.gov/databases/selection/lco ↩︎
- https://www.oplin.ohio.gov/sites/default/files/2019annualReport-compressed.pdf ↩︎
- https://current.ndl.go.jp/book/14438 ↩︎