Licking Countyは,SEO コンソーシアムのメンバーになっている。SEOとは「Serving Every Ohioan」の頭文字をとったものである。このコンソーシアムはオハイオ全域に広がる大規模なものである。104の図書館システムが参加している1。SEOコンソーシアムでは,共通の図書館システム(ILS)を使用している。現在のILSは,SirsiDynixのWorkFlowsである。当然,目録も共通化されており,利用者は参加館の膨大な資料を一つのOPACで検索できる。このコンソーシアムは,オハイオ州を代表する仕組みの一つであり,目録件数は810万点,利用者数は100万人,年間貸出件数は1,500万件とされている。
この大規模なコンソーシアムを支えているのは,州立図書館の一部門であるSEOサービスセンターである。ここでは,技術サポートやソフトウェアサポート,さらにはオンデマンドトレーニングなども行っている。ILS統合によって個別館が図書館システムを独自に運用する必要がなくなり,システム担当の職員も不要になる2。運営には連邦資金であるLSTAの約57万ドルが投入されている3。仮にこの支援がなくなると,参加館は1図書館システムあたり約5,490ドルの負担増になるという。
利用者の視点から見ると,この仕組みの利便性は非常に大きい。たとえば,Emily Henryの「Great Big Beautiful Life」の図書を検索すると195件がヒットする。これはLicking Countyだけでなく,コンソーシアム参加館全体の蔵書である。ちなみにLicking Countyの所蔵は16件であった。利用者は仮に自館に所蔵がなくても,他館の資料をOPAC上で自ら予約し,無料で受け取ることができる。こうした広域的な資料共有を支えるには物流も欠かせない。Lickingの図書館のバックヤードには,配送先が書かれた多数の布のバッグが壁に並んでいた。100を超える参加館を持つコンソーシアムだと「こうなるのか」という光景であった。配送は外部委託されている。
この仕組みで興味深いのは,ILSの共通化である。小規模な図書館にとって,ILSの導入・維持は大きな負担である。しかし,共通化によってその負担が軽減される。日本でも長野県の一部自治体などがシステムの統合をしているが,全国的に見れば一般化しているわけではない。
- https://support.servingeveryohioan.org/support/solutions/articles/69000859362-about-the-seo-library-consortium ↩︎
- https://www.imls.gov/sites/default/files/state-profiles/evals/ohio5yearevaluation.pdf ↩︎
- https://support.servingeveryohioan.org/support/solutions/articles/69000870744-how-federal-funding-directly-supports-your-library-s-core-services ↩︎