フランクリン郡ダブリンには,コロンバス・メトロポリタン図書館がサービスを提供している。その図書館を訪れた際,近くにあるOCLCを見に行った1。図書館からインディアン・ラン・フォールズ・トレイルと呼ばれる林の道を歩いて20分ほどのところにある。道に沿って川が流れており,渓谷のような風光明媚なところである。雑木林にはリスがいて,歩いているとカサカサと枯れ葉を走る音がする。OCLC自体は図書館ではないので見学はできない。ゲートで写真を撮ってきた。
OCLCをここで改めて説明はしないが,世界的な書誌ユーティリティを運用する機関として有名である。もともとオハイオ州の大学などがリソース共有にために設立した組織である。昔の名称はOhio College Library Centerだったが,現在はOnline Computer Library Centerとなっている。いずれにしてもOCLCである。
さて,現在のオハイオの公共図書館とOCLCにはどのような接点があるか。最近訪れた図書館(人口は3万人強)では,WorldCatからコピーカタロギングを行っていた2。その図書館は地域的なコンソーシアムであるCLC(Central Library Consortium)に参加しており3,CLCがOCLCに加盟し,そこが会費を支払っているとのことであった。では,CLCは,WorldCatで検索をすると本当にヒットするのだろうか。WorldCatで検索をすると確かに参加館が「近くの図書館」として表示された。ということで,CLCは間違いなくWorldCatに参加しており,所蔵データも付けている。
では,CLCがWorldCatに入っている意図はなにか。シンプルに考えれば目録作成作業効率化とILLであろう。後者について言えば,CLCで入手できず,OhioLINKやSearchOHIOでも入手できない資料,つまりオハイオ州で入手できない資料を全米,あるいは世界中から入手するためであろう。しかし,CLCの中心館であるコロンバス・メトロポリタン図書館のILLを紹介するサイトを見ても,オハイオ州以外のILLに関する明示的な説明はない4(但し,データベースの紹介としてWorldCatは紹介されている)。確認した限りでは,CLCに参加している他の図書館のILL紹介でもWorldCatを使ったILLに言及している図書館はなかった。
オハイオには,代表的な公共図書館コンソーシアムとして,SEOコンソーシアムがある。こちらには,図書館向けのILLの説明中にWorldShare ILLの説明があるため5,こちらもOCLCに参加している。しかし,こちらに参加する図書館も,ざっと確認した限りではWorldCatを使ったILLには特に言及していなかった。となると,両コンソーシアムともにILLのため,というより目録共有のために参加していると考えるのが妥当と言えそうである。
では実際に,どの程度,MARCを入手しているのであろうか。CMLにあった図書について,CLCのデータ(MARC21のフィールド40)をいくつか確認すると,英語図書については,LC作成のものが多いが,OCLCを経由して取得しているものが多いようである。英語以外の図書はどうか。日本語の『ズームデイズ』(ISBN:9784093861632),中国語簡体字の『半熟家族』(9787513934565),韓国語の『누굴 죽였을까』(9791170611028),ウルドゥー語の『Qāʼid-i Āʻẓam』(9693506944)はOCLCを経由していた。一方,スペイン語の『Los chicos de la Nickel』(9781644732700)と,ベトナム語の『Ngư`ơi sông mê』(8936046614159)はOCLCで共有された記録はなかった。ちなみに,言語表記は,日本語はローマ字,ベトナム語とウルドゥー語はそれぞれの言語で入力されていた。フィールド40がどの程度信頼できるか分からないが,少なくとも一定数は,OCLCを経由している図書が多いようである。
日本の公共図書館では,現状どの程度 WorldCat に参加しているか。あっても少ないであろう。日本の公共図書館の場合,WorldCat に参加しなくても ILL に関していえば 最終的にはNDL があり,日本語資料の入手は容易である。MARC も民間 MARC を購入している。しかし,OCLCのデータは,今後多様な言語の図書を購入する際に役立つ可能性がある。OCLC が例えば東アジアや東南アジアの図書のMARCをどの程度保有しているのかは分からないが,日本の図書館が今後,そうした資料の購入を進める場合,MARCを一から作成することは図書館にとって負担である。コピーカタロギングで入手できるのであれば,図書館の負担は大いに減る。
しかし,上で述べたように,日本では相互貸借のメリットは大きくない。WorldCatに参加する場合,所蔵データをOCLCに提供する必要があるが,民間MARCをそのまま提供するのは難しいだろう。また,日本にはオハイオ州のようなコンソーシアムもない。日本語資料以外のコピーカタロギングだけで活用するのであれば,会費負担とのバランスで割に合わない可能性もある。分からないことばかりだが,外国語資料購入にはMARCの問題を解決することが必要であろう。