シンシナティ・ハミルトン郡公共図書館(CHPL)のウェブページに,「図書館を応援しよう!(Be a Library Champion)」というページがあった1。これは,図書館アドボカシーの一環として,市民がどのように図書館を応援できるのかを示した内容である。日本でも,図書館を応援したいと考える市民は一定数いると思われる。そうした人たちへの具体的な呼びかけとして参考になると考え,ここで紹介したい。このウェブページでは多様な方法が示されているが,ここでは大きく4つに分けて整理する。
最初は,図書館を利用することによる支援である。図書館カードを取得すること,資料の購入を依頼してコレクション構築に関わること,イベントやプログラムに参加することが挙げられている。これらは,結果としてコレクション構築や資金調達,プログラム実施につながると説明されている。図書館が利用されていることが,図書館が市民に支持されていることを直接表すことは間違いない。
次は,ソーシャルメディアへの参加である。図書館ではYouTube,Facebook,X,Instagram,TikTokといった複数のSNSから情報発信をしている。それらへの投稿に「いいね」やシェアを行うこと,図書館を訪問した体験を自身のSNSに投稿することが呼びかけられている。高いエンゲージメントは,SNS上での図書館の存在感を高める。こうしたことは,SNSなどをよく使う利用者へのリーチに有効であろう。
3つめは,より踏み込んだ支援である。具体的には,友の会への参加,図書館財団への寄付,ボランティア活動への参加,図書館グッズの購入と利用が示されている。友の会は2004年に設立された非営利・非課税の団体で,慈善的・公益的活動を行っている2。古くなった図書や寄贈された図書を販売し,その収益を図書館で開催される各種プログラムの支援に充てている。図書館財団では,寄付金を活用して,子どもへのスナック提供,サマーリーディングプログラム,宿題ヘルプ,メーカースペースの設備整備,作家レジデンス,理髪店での読書機会提供などを支援している。ボランティアは,英会話パートナーやサマーリーディングプログラムのサポートなど,多様な活動を担っている3。さらに,図書館ではシャツ,パーカー,マグカップ,バッグ,ノートといったグッズを販売しており4,日常的に身に付けたり使ったりする形で図書館を応援することもできるとされている。
4つめは,政治的な領域に関わる支援である。これはこれまでよりもさらに踏み込んだもので,アドボカシーの典型的活動といってよいであろう。ウェブページでは,議員に対して手紙や電話,メールで図書館の意義を伝えることが推奨されているほか,自治体のミーティングなどに参加して意見を述べることも勧められている。働きかけの対象となる議員は州議会の上下両院の議員などである。ウェブページでは,オハイオ州の選挙区毎の議員を確認できるようにしている。また,市民に対して選挙に関する情報を確認することを促したり,図書館で有権者登録ができる点についても周知したりしている。
このように,CHPLでは,図書館を支えたい市民に,できる範囲で応援できる方法を伝えている。アドボカシーというと,政治的働きかけがイメージされがちだが,もっと簡単な方法で,図書館を支援することができることを示している点で興味深い。