図書館施設インフラ整備補助金

このプログラムは,カリフォルニア州立図書館によるもので,図書館施設改善を目的とした州独自の補助金プログラム(Building Forward Library Facilities Infrastructure Grant)である1。バーバンク市の図書館を訪問した際,この資金を得て新たな中央図書館の建設計画が進められていた。ここでは,州立図書館によるこのプログラムについて紹介する。ちなみに,これまで訪問してきた図書館の中では,ロサンゼルス・カウンティのウェスト・ハリウッド公共図書館もこの補助金を受給しており,セキュリティ関連の設備整備を行う予定である。

このプログラムでは,当初,人命の安全確保,重要な保守,インフラ関連のプロジェクトに重点を置いて補助が行われた。その後,エネルギー効率や持続可能性の向上,デジタルおよび物理的アクセスの拡大といった事業も補助対象に含まれるようになった。資金配分にあたっては,カリフォルニア州内でも貧困率の高い地域が優先された。

プログラムの募集時期は,2022年と2023年である。2022年には34カウンティ,182市の246図書館に対して3億1,200万ドル以上が補助された。2023年には,18カウンティ29都市の34地域図書館に1億7,200万ドル以上が補助されている。合計すると,4億8,400万ドルが278館に投入された計算になる。日本円に換算すると約750億円である。カリフォルニア州は人口4,000万人弱であるので,千葉県,埼玉県,東京都,神奈川県を合わせた人口に近い。そこで,図書館の施設に750億円が投入されたというのは,かなり大きな事業規模である。なお,報告書によれば,カリフォルニア州の公共図書館の平均築年数は50年とされている2。日本よりも老朽化が進んでいるが,日本もそう遠くない未来にはそのくらいになるであろう。

バーバンクの中央図書館は1963年に設置され,すでに60年以上が経過している。実際に訪れてみても,施設は確かに新しくない。市ではこれまでも複数回にわたり建て替えを検討してきた。しかし,資金不足などにより実現には至らなかった経緯がある3。2018年以降には,インフラ整備のための資金を確保して,対象施設の中に図書館が含まれていた。2020年以降は設計事務所による具体的検討が始まり,2021年にはその案が市議会で承認されている。その後,2023年にカリフォルニア州の補助金を得ることができた。検討が具体化していた中,ちょうどこの資金を得られたわけである。

現在,バーバンクでは7,000万ドル規模のシビックセンター計画の一部として,中央図書館新館の建設が位置づけられている。補助金として得られた額は約995万ドルであった。なお,マッチファンドとして同額の支出が市側に求められており,実際に支出することになっている。特別な事情がない限り同額支出はこの補助金の原則である。バーバンクでは昨年から,新たな図書館建設に向けて市民,議員を巻き込んだ議論が進められている4

バーバンクの例を見るまでもなく,財政状況が厳しい中では,新たな資金を確保しない限り,図書館の更新は難しい。こうした「種」となる資金が存在することは,カリフォルニアにおける図書館施設の更新を確実に進めるであろう。日本でも地方公共団体が,公共施設等総合管理計画を策定して公共施設のあり方を検討しているが,自助努力だけでは老朽化した施設更新を進めるのは,容易ではないだろう。

  1. https://www.library.ca.gov/services/to-libraries/building-forward/ ↩︎
  2. https://www.library.ca.gov/uploads/2024/04/22-23-Building-Forward-Report.pdf ↩︎
  3. https://newburbanklibrary.com/central-library-vision-study-2021 ↩︎
  4. https://newburbanklibrary.com/ ↩︎