相互貸借システム Link+

パロス・ベルデス図書館区(PVLD)では,他の多くの図書館同様,自館に所蔵のない資料を他館から取り寄せること(ILL)ができる。ILLには2ドルの費用が必要である。PVLDを含めて多くの図書館ではWorldCatなどを用いたりしている。PVLDでは,こうした従来の方法に加えて,2026年1月からLINK+という仕組みを導入する予定である1。LINK+は,これまで訪問してきた図書館の中では,サンフランシスコ公共図書館も参加している。興味深い仕組みなので,ここで紹介しておきたい。

LINK+は,主にカリフォルニア州とネバダ州の公共図書館や大学図書館が参加する仕組みである。参加館の総合目録を基盤としている。総合目録といっても,システム側が自動的に各館の所蔵情報を集約して構築しているものである。近年では,図書だけでなく,DVDなどの視聴覚資料にも対応しているようである。

LINK+の特徴は,参加館の利用者がこの総合目録を直接検索し,自分で資料の予約を付けられる点にある2。一般的なILLでは,利用者は直接予約を行うことはできず,図書館員が間に入ることが一般的である。日本の図書館でも同様である。その意味で,LINK+は,他館の資料であっても,自館の資料と同じ感覚で予約できる仕組みといえる。利用者にとっては利便性が高く,職員にとっても省力化や時間短縮につながる。説明によれば,資料は2日から4日程度で用意されるとのことである。

技術的な観点から見ると,LINK+にはInnovative社が開発したINN-Reachという技術が用いられている3。プロトコルとしては,NCIP(Z39.83)などが用いられている。Innovative社はILSなどを提供している企業で,現在はクラリベイト傘下にある。この仕組みでは,総合目録に対して利用者が検索し予約を付ける,とシステム側で,利用者の認証,貸出館の選定,借受館側への一時的な資料レコードの作成と予約の割付けといった処理が自動で行われる。貸出館では,予約の入った資料を該当する図書館へ発送する。LINK+は,OhioLINKと同様の技術が用いられているとされている。オハイオ州に滞在していた際,OhioLINKというサービスは認識していたが,こうした仕組みで動いていることは知らなかった。

日本でもこうした仕組みができればよいと思うが,ILSがこうした仕組みを仲介するAPIを提供できるのか,利用者認証にどのような仕組みが使われているのかといった点は,よく分からない。特に日本の図書館では,個人情報のやり取りを回避する仕組みが不可欠である。そうしたことをどう解決しているのか(していないのか)などはよく分からないところである。

  1. https://drive.google.com/file/d/1kgd9OMfI5xTzqhxZEHwMmzYmS7gLBJ0I ↩︎
  2. https://csul.iii.com/screens/linkplusinfo.html ↩︎
  3. https://librarytechnology.org/document/24458 ↩︎