オーストラリア図書館協会(ALIA)では,専門的職員の能力開発を支援している。これは,職能団体として当然に求められる役割である。ALIAでは,そのための取り組みとして,三つの柱を設けている1。それは,ALIAトレーニング,継続的専門能力開発(CPD)制度,メンタリングスキームである。ここでは,そのうち,ALIAトレーニングとメンタリングスキームについて紹介したい。
ALIAトレーニングでは,LISフレームワークに基づくコースが提供されている。2026年2月時点では,13のコースが用意されていた。コースには,いつでも受講できる「自習型」のものと,受講期限が設定された「ファシリテーター主導型」のものがある。たとえば「著作権101」は,自習型コースとしていつでも登録が可能で,Moodle上で提供されている。修了までには5時間から8時間程度を要し,料金は会員が100ドル,非会員が150ドルである。このコースは,専門的能力開発(CPD)として10時間分が認定される。あわせて,「LISフレームワーク」との関係も明示されており,PK1(情報サービス)を含んでいるといった表示がなされていた。一方,期限付きのコースでは,「デジタルトレンドの動向」があり,2026年11月3日から23日までの3週間が受講期間として設定されている。
メンタリングスキームは,1対1でペアを組み,メンターがメンティーをサポートする仕組みである2。この枠組みでは,知識の共有,自信の醸成,キャリアパスの支援,リーダーシップ能力の育成などが目的とされている。募集は毎年5月に行われ,プログラムは7月から翌年6月末までの1年間実施される。メンターは経験豊富なLIS専門職,メンティーは「将来有望な」LIS専門職と位置づけられている。マッチングは,ALIA教育チームが担当している。メンティーは210ドルを支払う必要があり,毎月最低3時間を確保することが求められる。内訳はメンターとの1時間の面談,面談準備,月例ウェビナーの視聴,オンラインでの交流などである。2024年から2025年にかけては,メンターとメンティー合わせて138名が参加した3。なお,メンター,メンティーともに募集制である。月例ウェビナーでは,メンティーの関心が高いとされる「自信」「リーダーシップ」「変化する業界」「ネットワーキング」などのテーマが取り上げられているという。
近年,IFLAでも,図書館協会によるメンター制度が話題になることが多い。その際は,マッチングがうまくいくのか,適切なメンターを確保できるのかといった疑問が出ていたことを記憶している。しかし,そうした課題が指摘されながらも,実際には多くの国でメンター制度が実施されているようである。図書館コミュニティに入って間もないものの,この分野で将来を考えている人にとって,こうした制度は貴重な機会となるだろう。