ロサンゼルス公共図書館(LAPL)は,オンライン高校キャリア学位プログラム(Career Online High School: COHS)を提供している1。このプログラムを受講することで,高校卒業資格を得ることができる。さらに,修了時には高校卒業資格に加えて「キャリア証明書」も取得できる。この取り組みは2014年にロサンゼルス公共図書館(LAPL)で導入され,これまでに1,200人以上が卒業してきた2。
このプログラムの運営を担っているのは,Smart Horizons Career Online Educationである3。同社は2010年頃からこのプログラムを展開しており,LAPL以外にも多くの図書館で導入されている。社会には,なんらかの事情により高校卒業資格を持たない人がいる。このプログラムは,そうした人々のうち,あらためて資格取得を目指す人を対象にしている。受講者数は一定数に限定されており,選ばれた受講者は全員,奨学金を受けることができる。受講にあたっては,LAPLの利用登録が必要となる。
このプログラムにおいて,高校卒業資格は18単位の修得で取得できる。過去に高校を中退している場合でも,それまでに修得した単位があれば最大14単位まで認定される。そのため,残り4単位のみを履修する場合には,最短で約5か月で修了することも可能である。授業はすべてオンラインで提供され,パソコンやタブレットを用いて学習を進める。LAPLでは,図書館の活用も強調されており,図書館が提供するオンライン教育リソースの利用が推奨されている。具体的には,LinkedIn Learning,Mango Languages,Udemy などである。
このプログラムでは,学科科目に加えてキャリア関連の授業も用意されている。その履修によってキャリア証明書を取得できる。その分野は多様で,オフィスマネジメント,保育と教育,セキュリティ専門家などが含まれている。これらは卒業後の就職を視野に入れた内容である。もちろん,高校卒業資格を得ることで大学への進学の道も開かれる。
高校卒業資格を持たないと,就職や進学の場面で大きな制約となることがある。多くの職では,応募条件として高校卒業資格が求められるし,大学入学においても必須要件である。その意味で,このプログラムは,当人が就くことのできる職の幅を広げ,将来の可能性を広げるものである。「自らを助くる者」に対して,こうした機会を提供することは,社会教育的な役割を担う図書館にとって重要であろう。