ドリー・パートンのイマジネーション・ライブラリー

カリフォルニア州立図書館のウェブページで,ドリー・パートン(Dolly Parton)のイマジネーション・ライブラリーが紹介されている1。この取組は,5歳までの子どもに対し,毎月,年齢に応じた絵本を無料で郵送するというものである。郵送される図書の一覧はウェブページに掲載されており2,図書の言語は英語またはスペイン語から選ぶことができる。カレントアウェアネスでも紹介されている3。日本のブックスタートと似ている点があるが,興味深いのでここで取り上げてみたい。

これまでアメリカの図書館を訪れると,めがねをかけた女性,すなわちドリー・パートン氏のポスターを何度も見てきた。先日訪問したサンフランシスコでも,2025年9月から市全域でこの取組が開始されていた。正確な参加図書館数は分からないが,多くの図書館が関わっているようである。

ドリー・パートン氏はカントリーでよく知られているシンガーソングライターである。「ジョリーン」や「オールウェイズ・ラヴ・ユー」などは多くの人になじみのある曲ではないだろうか。この取組は,ドリー・パートン氏が1995年から,故郷のテネシー州セビア郡(カウンティ)で始めたものである。公式ウェブページによると,これまでに登録された子どもの総数は300万人を超え,郵送された図書の総数は3億冊以上にのぼるという4。現在では,全米に加え,カナダ,イギリス,オーストラリア,アイルランドでも行われている。

これを地域で行う場合,地元の団体がホストする。その団体は子どもの登録を行ったり,プロモーションを行ったりする。また,図書費と郵送費は団体が負担する。地元の団体としては,図書館,行政や図書館友の会などの非営利団体が関わることが多い。したがって,図書館だけで行われる事業ではないが,図書館も関与することがあるという位置づけになる。

カリフォルニア州では,2023年以降,早期のリテラシー支援の観点から,州が支援している。州は,このプログラムに関わる図書購入と郵送にかかる経費の50%を負担している。先に触れたサンフランシスコでは,サンフランシスコ幼児教育局とサンフランシスコ公共図書館が連携して実施しており5,残りの50%を負担している6。実際にかかる費用は,図書代と郵送費を合わせて,一人あたり1回2.6ドルとされており7,これが毎月,5歳まで続くことになる。ドリー財団では,図書の選定,仕入れ,出版社との交渉,子どもの登録や図書発注システムなどを担っている。

この取組は,子どもに図書を贈るという点で日本のブックスタートと類似している。中間団体が入っている点や,図書館「も」関わっている点も類似している。一方,ブックスタートと大きく異なるのは,図書が5歳まで送られる点である。日本でも,セカンドブック事業など年齢が上がってからも図書を贈る例はあるが,限定的である。経費が安いことも行政にとって関与しやすいのかもしれない。個人の取組として始まったものではあるが,これだけの広がりがあるのはすごいことである。

  1. https://www.library.ca.gov/services/to-public/imagination-library/ ↩︎
  2. https://imaginationlibrary.com/usa/book-list/ ↩︎
  3. https://current.ndl.go.jp/e820 ↩︎
  4. https://imaginationlibrary.com/ ↩︎
  5. https://sfdec.org/a-library-in-every-home-free-books-for-san-franciscos-youngest-readers/ ↩︎
  6. https://www.kqed.org/news/12055693/dolly-partons-imagination-library-launches-in-san-francisco ↩︎
  7. https://imaginationlibrary.com/usa/ ↩︎