インディアナポリス公共図書館では,OverDrive(Libby)やHoopla等を通じて電子資料を提供している1。なかでも,OverDriveで利用できる電子資料は337,293点と非常に多い。電子資料には電子書籍,電子オーディオブック,電子雑誌が含まれる。このサービスはインディアナ州の Indiana Digital Library Consortium(IDL)によるものである。ここではインディアナ州における電子書籍共同のあり方について簡単に見ていきたい。
IDLは,州内の約200の図書館システムが参加するコンソーシアムで,2022年に開始されている2。少し前のデータだが,2023年末時点ではユニークタイトル数が262,203点,複本を含めた点数は725,482点であるため3,平均複本数は約2.8点である。2025年12月に確認したところ,タイトル数は294,302点となっており,2年間で3万点ほど増えていた。
IDLのコレクションは,州立図書館のコレクション管理チームが選書する共有コレクションと,各館が選書するアドバンテージ・プラス・コンテンツから構成されている4。共有コレクションでは,コレクション構築方針として,知的自由への配慮や選択基準が示されている5。一方,アドバンテージ・プラス・コンテンツは個別図書館が選書を行うもので,自館利用者が優先的に利用できる資料である。ただし,アドバンテージ・プラス・コレクションであっても,参加館で共有される。
IDLへの負担金はサービス対象人口によって異なる。例えば最小の区分である5,000人未満であれば年間1,200ドル,最大の区分である10万人から15万人であれば12,000ドルとされていた6。負担金のおよそ2/3がアドバンテージ・プラス・コンテンツ,残り1/3が共有コレクションに用いられる。IDLでは,加盟館からの負担金に加えて連邦のLSTA助成金も活用されてきた。しかし,すでに述べたように,LSTAの助成が一部停止され,今後も見通せない状況にある。さらにインディアナ州では,2025年に固定資産税減税に伴う措置として州内公共図書館への助成金と州立図書館の予算が削減された。このことから,IDLをはじめとした州内の共同的サービス継続が危惧されている状況である7。
IDL 運用の危機はまさに現在進行形の事態であるが,これまでIDLがあることで何が可能になってきたか。当然のことだが,多くの参加館は単館で契約できる電子資料数と比較して利用できる点数が大きく増える。特に,小規模自治体でも多くの電子資料にアクセスしやすくなる点が挙げられる。HENRY HENLEY PUBLIC LIBRARYという図書館がある。この図書館のサービス対象人口は927名である。この図書館では,2024年の物理資料の年間貸出点数が1,813点であったのに対し,電子資料の貸出は3,320点であった8。電子資料の貸出点数が物理資料を大幅に上回っているのである。このような状況は,まさにコンソーシアムがあることのメリットといえる。
電子資料のコンソーシアムにはさまざまな形態がある。いずれにせよコンソーシアムによってどこに居住していても一定の資料にアクセスできるようになることは大きなメリットである。中心となる機関,資金調達の仕組み,自館利用者への優遇のあり方,コレクション選択の方法などをしっかり検討した上で,日本においてもこうした枠組みを導入していくことが求められているのではないだろうか。
- https://www.indypl.org/books-movies-music/download-stream/e-books ↩︎
- https://www.in.gov/library/services-for-libraries/indiana-digital-library/ ↩︎
- https://indianadigitallibrary.org/ ↩︎
- https://resources.overdrive.com/library/libby-features/advantage/ ↩︎
- https://www.in.gov/library/files/IDL-Collection-Development-Policy.docx ↩︎
- https://indianadigitallibrary.org/join-idl-2/ ↩︎
- https://dailyjournal.net/2025/06/01/indiana-libraries-museums-reeling-from-federal-state-funding-cuts/ ↩︎
- https://henryhenley.lib.in.us/ ↩︎