califa

サンタ・フェ・スプリングス・シティ図書館のサービス対象人口はおよそ1.9万人である。施設は新しく,訪問時には館内に滞在する利用者も多く見られた。小規模館だがよく利用されている印象を受けた。同館のウェブページを見ると,多くのデータベースを提供している。いくつか挙げると1,PressReader は120カ国,60言語以上,7,000タイトルを超える新聞・雑誌を提供している。AtoZdatabases は企業情報や消費者情報を扱うマーケティング系データベースである。DMV Practice Test は運転免許取得のための無料模擬試験である。EBSCO LearningExpress Library Complete は大学入学試験対策などを含むオンライン学習・試験対策プラットフォームである。LOTE4Kids は65以上の言語に対応した電子絵本サービスである。これら以外にも,多くのオンライン資源が提供されていた。

また,ここでの議論とは少しずれるが,同館ではK–12の児童生徒向けデータベースも提供している。Britannica School,ProQuest Research Companion,TeachingBooks などが利用できる。これらは図書館が個別に契約しているのではなく,州立図書館が州全体に提供している COMPASS(The California Online Media Program for Access and Student Success)というデータベースに含まれるものである2

さて,小規模な公共図書館でも,多くのデータベースを提供できるのか。オハイオ州では,州立図書館と密接に関わる OPLIN が図書館でのデータベース提供に関わっていた3。カリフォルニア州では,califa という団体が同様の役割を果たしている4。そのため,サンタ・フェ・スプリングス・シティ図書館に限らず多くの図書館がたくさんのデータベースを提供している。興味深い仕組みなので,ここで紹介したい。なお,califa については Enki Library の文脈ですでに触れた団体でもある。

califa は,図書館による共同組合的な組織である。法的には内国歳入法 501(c)(3) に基づく非営利団体であり,公共的性格をもつ組織として税制上の優遇を受けている。日本の制度でいえば,公益社団法人に近い。加盟館は公共図書館に限らず,大学図書館,研究図書館,学校図書館などで,200以上の図書館システムが参加している5。加盟には会費が必要であり,フルタイム職員数に応じて金額が決まる。ただし,職員数が100人を超える規模であっても会費は500ドルであり,負担は比較的軽い6。califa は2004年に,LSTAの助成金を用いてカリフォルニア州立図書館によって設立された。その成立過程から見ても,公的な性質をもつ団体といえよう。

califa の主な役割は,図書館向け製品やサービスを共同で購入し,ベンダーとの契約条件を有利にすることである。califa では価格交渉を行い,加盟館は califa 経由で製品やサービスを購入する。実際に製品・サービスのリストを見ると,BiblioBoard,BiblioCommons,Bibliotheca,Comics Plus,EBSCO,LinkedIn Learning,Mango Languages,PressReader など,多くの図書館で見かけるものが並んでいる7。業務用ソフトウェア,電子資料,語学学習やオンライン学習サイトなど,対象分野も多様である。先に挙げたサンタ・フェ・スプリングス・シティ図書館のデータベースの多くも,califa の取扱製品である。

さらに,califa は単なる共同購入にとどまらず,ベンダーと協力して新たなプロジェクトを立ち上げることもある。また,州立図書館の LSTA 関連助成金プロジェクトの提案や管理,人材育成プログラムである Infopeople の運営なども担っている。

これまで訪問した図書館では,ビバリーヒルズ公共図書館,バーバンク公共図書館,ロサンゼルス・カウンティ図書館,ロサンゼルス公共図書館,サンフランシスコ公共図書館,サウスパサデナ公共図書館,アップランド公共図書館など,ほとんどの図書館が加盟している8

データベースや電子資料の契約主体となるためには,図書館が加盟する法人化された組織が求められる。あるいは,契約交渉を行うためには少なくとも恒常的な事務局を設ける必要があるであろう。日本の状況を考えると,都道府県立図書館や各種協会・協議会に,このような役割をそのまま期待するのは難しいであろう。日本図書館協会が関与する可能性も考えられるが,ビデオ頒布事業の失敗を考えれば難しいであろう。全国公共図書館協議会も,こうした事業を行うような性格の組織ではない。要するに,図書館のことが分かり,ビジネスができる組織が必要になる。小規模館であっても質の高い電子資源を提供できるという点では,califa のような組織があることのメリットは大きい。

  1. https://sfslibrary.org/collections___resources/library_databases.php ↩︎
  2. https://www.library.ca.gov/services/to-public/k-12-online-content-project/ ↩︎
  3. https://www.oplin.ohio.gov/databases ↩︎
  4. https://califa.org/ ↩︎
  5. https://califa.org/about ↩︎
  6. https://califa.org/members ↩︎
  7. https://califa.org/services ↩︎
  8. https://califa.org/members/member-list ↩︎