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ウィルスへの対処 no.3

資料自体の消毒はどうするべきか。ここでも,American Libraries誌におけるLara Ewen氏による”How to Sanitize Collections in a Pandemic“を紹介しながら考えたい。

記事では,図書館の資料は基本的に傷みやすいことから,溶剤などによる消毒は望ましくないと述べられている。

しかし,ポリエステルまたはポリエチレンで包まれた図書にはそうした対処は可能であるとも言及している。日本の図書館で使われている図書を覆うカバーの多くがそうしたものであれば,少なくとも「外側」について消毒が可能となる。

ただし,外側を拭くだけでは,ウイルスを完全に除去したとはいえないことに注意が必要とも述べている。資料内部のウイルスを完全に除去できないためである。

紫外線については,その照射強度が強いため,資料を傷める可能性が指摘されている。また,全てのページを照射することは,現実には難しいことを考慮する必要も指摘されている。

以上,記事を紹介してきたが,全体を読んだ印象としては,資料の消毒には限界があること,ウイルス除去には時間の経過が有効であること,資料を痛めないよう十分な配慮をすること,が強調されていたように感じる。図書館が資料を将来に向かって蓄積保存する役割を考慮すれば,資料がいたむような手段は用いるべきではない,という考えが見られる。

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ウィルスへの対処 no.2

では,ウイルスにいかに対処するか,である。ここでも,American Libraries誌におけるLara Ewen氏による”How to Sanitize Collections in a Pandemic”という記事を紹介しながら考えていきたい。

COVID-19に感染した利用者から資料が返却され,それを別の利用者が利用し感染する場合,①資料にウイルスが付着,②そのウイルスの残留中に次の利用者が資料を触る,③手などに付着したウイルスが目,鼻,口などから侵入,というプロセスを経る。そうした可能性は高くないことは予想されるにしても,より慎重な対応をするために,かつ,利用者に安全に利用してもらうためにはどうすればよいか。

記事によれば,最善の方法は,2020年3月17日のALAの勧告にもとづき,感染リスクがなくなるまで閉館することだという。しかし,やむを得ず開館したり,あるいはなんらかの理由で利用者に資料を提供しなければいけない場合,どうすればよいか。

まず,職員や館内での感染を防ぐために,図書館内の消毒と手洗いが必要である。机の上,ドアノブ,返却ボックス,コンピュータなどである。記事では,専門業者による消毒が望ましいとされているが,日本でそうした事業者がいるのであろうか。ちなみに厚生労働省は,消毒では,薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後,水拭きを推奨している。

また,資料を扱った場合や職場の共有物を扱った場合は手を洗うことも必要とされる。資料自体の消毒については,次の記事で述べる。

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ウィルスへの対処 no.1

図書館においてコロナウイルス感染を防ぐことは重要である。図書館内で,必要な対策をすることは当然だが,図書や雑誌といった資料に付着する可能性のあるウイルスに対してはどう考えればよいだろうか。ここでは,American Libraries誌におけるLara Ewen氏による”How to Sanitize Collections in a Pandemic”という記事を参考にしながら考えていきたい。

記事では,まずSMITHSONIANMAG.COMの Joseph Hayesの記事が紹介されている。ここから,図書館の資料が感染症を引き起こす危惧は,19世紀からもたれてきたこと,しかし,経験的にそうしたことが証明されたわけではないこと,が述べられている。ちなみに,日本では,以下の文献を見つけた。この文献については,改めて言及したい。

宮本孝一. 北から南から “本の消毒”考. 図書館雑誌, vol. 102, no. 6, p. 403-406, 2008.

では,図書館の資料は安全かといえば,そうは簡単には言えない。Ewen氏はG. Kamp氏らの文献を引いて説明している。この文献は利用可能なすべての関連文献をもとにコロナウイルスの残留性などをまとめたものである。文献については日本でも新聞などで紹介されている。文献によると,コロナウイルスは金属の上で9日間生きること,紙の上では4日から5日間生きることが書かれている。

これらのことから,感染拡大が進む環境下において,感染者が触った資料をそのまま貸出すことは,リスクがないとはいえないことになる。では,ウイルスにどう対処すればよいであろうか。