図書館のスタッフ

今回もPLAの”Public Libraries Respond to COVID-19“の続きである。今回は図書館で働く「スタッフ」について。調査では,まず,スタッフのタイプを尋ねている。結果,①Part Timeが42%,②Full Time Non-MLISが32%,③Full Time MLISが17%,④一時的雇用などが9%,となっている。

①と④の説明は不要だと思われるが,②は図書館情報学の修士号(MLIS)を持たないフルタイムのスタッフ,③はフルタイムのMLISを持つ職員で,いわゆる「ライブラリアン」と呼ばれている。これら①から③は,単純な定型的業務から,創造的で,経営面に関わる業務に携わる職員,という順番になる。

前の記事で見たように,現在,図書館の多くが閉鎖されている。その間の給与の支払いについて調査がされており,①Part Timeは10%が給与を支払われていないと回答しているのに対して,②と③は1%と回答しており,差がついている。ただし,他の地域(例えばカナダのカルガリー)のようにレイオフはほとんどされていない。

また,在宅勤務指針(WORK FROM HOME POLICY)の有無についても尋ねており,有りが70%,無しが10%で,18%がUndecidedとなっている。Undecidedは現在,策定中,というニュアンスであろうか。

COVID-19とは別の文脈だが,興味深い点として,いわゆるライブラリアンが17%しかいないことがある。そして,また,Part Timeが42%とかなりの部分を占めている。日本でも,公務員,非常勤職員,嘱託職員,委託職員など多様な職員で構成されている。多様である点は共通であるが,大学院で学んだライブラリアンが中核業務を担う,という構造は大きく異るといえるのではないだろうか。

日本の数値は不明だが,「第201回国会参議院 総務委員会第5号令和2年3月18日」で吉田忠智氏(社会民主党)は非公式の資料と断った上で,316自治体の非正規職員(図書館に限らない)の勤務状況を述べている。それによると,84自治体が出勤を取りやめており,そのうち,無給特別休暇が35、欠勤扱いが12で,合計47が無給であるという。なお,総務省は3月5日付けで「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた業務体制の確保について」を発出し「非常勤職員を含む職員全体の働く場の確保」を指示し,事例として「図書館の職員を平常時には十分でなかった書庫整理やウェブ貸出等に従事させる」が挙がっている。