COVID-19と関連して,American Libraries Directに紹介されていたStoryWalk®を紹介したい。記事では,NRPAのサイトが紹介されていた。NRPAは団体名で,日本語に訳せば「全国レクリエーション公園協会」ということになろうか。当該サイトには,公園と図書館との連携事例などが載っている。
その中に,StoryWalk®が紹介されている。ちなみにStoryWalk®は登録商標のようでStoryWalk®と書く必要があるようであるが(Let’s Move in Librariesのサイト),実際には図書館により異なる表記をしていることがある。StoryWalk®は,読書とアウトドア活動を同時に楽しむプログラムと紹介されている。実際にはどのようなものか。簡単に紹介すると以下のとおり(詳しくはケロッグ・ハバート図書館もどうぞ)。
実施する場所は公園などで,小道のあることが望ましい。小道には児童書の各ページを順路に合わせて配置していく。このとき,本は複数冊用意する。その各ページはラミネートで保護し,耐久性をもたせる。それを木の杭やイーゼルなどを使って設置する。ポイントとポイントの間は40歩程度確保し,小さな子が対象の場合は全長を半マイル程度とする。イメージがつかないときは,Appalachian Regional Library Systemの写真もご参考に。
利用者,というか散歩をする人は,順路に合わせて歩き,物語を読んでいく。対象者は基本的に子どもが多いようである。公園が舞台となることが多いのは,ルートが安全であることによる。終了後,写真を撮影してもらい図書館に送ってもらったり,ツイッターのハッシュタグ“#storywalk_town / city”で投稿してもらったりする。また,終点にノートを置いておくことで,参加者数を知ることができる。以上が基本型で図書館員の工夫によりひねりも加えられる。
こうしたプログラムは,コロナウイルスとの関連では,三密などと無関係であり,安全性が高い。公園を歩けば気分転換にもなる。
StoryWalk®のアイデアは,Anne Ferguson氏がヴァーモント公共図書館で2007年ごろに提起したものに由来し,その後,ケロッグ・ハバート図書館のRachel Senechal氏の協力により確立されたとされる。2017年のLet’s Move in Librariesによる調査によれば,300以上の北米の図書館がこうしたサービスを実施しているという。2019年にはALAとウェビナーも開催している。
日本の図書館でも,近年,医療,健康情報サービスは取り組まれるようになってきている。しかし,建物の外で実施されるこうしたプログラムはあまり考えられてこなかった。海外の図書館では,図書館内にジムを設けたり,ヨガやピラティスなど健康プログラムを実施することもあり,こうしたサービスもそれらの一環かもしれない。建物の外での活動であれば,コロナウイルスの制約化でも,実施可能である。周りに広めの公園がある図書館では,こうした活動を実施してみてはどうだろうか。