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ウィルスへの対処 no.1

図書館においてコロナウイルス感染を防ぐことは重要である。図書館内で,必要な対策をすることは当然だが,図書や雑誌といった資料に付着する可能性のあるウイルスに対してはどう考えればよいだろうか。ここでは,American Libraries誌におけるLara Ewen氏による”How to Sanitize Collections in a Pandemic”という記事を参考にしながら考えていきたい。

記事では,まずSMITHSONIANMAG.COMの Joseph Hayesの記事が紹介されている。ここから,図書館の資料が感染症を引き起こす危惧は,19世紀からもたれてきたこと,しかし,経験的にそうしたことが証明されたわけではないこと,が述べられている。ちなみに,日本では,以下の文献を見つけた。この文献については,改めて言及したい。

宮本孝一. 北から南から “本の消毒”考. 図書館雑誌, vol. 102, no. 6, p. 403-406, 2008.

では,図書館の資料は安全かといえば,そうは簡単には言えない。Ewen氏はG. Kamp氏らの文献を引いて説明している。この文献は利用可能なすべての関連文献をもとにコロナウイルスの残留性などをまとめたものである。文献については日本でも新聞などで紹介されている。文献によると,コロナウイルスは金属の上で9日間生きること,紙の上では4日から5日間生きることが書かれている。

これらのことから,感染拡大が進む環境下において,感染者が触った資料をそのまま貸出すことは,リスクがないとはいえないことになる。では,ウイルスにどう対処すればよいであろうか。

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ピックアップサービス

サービスの名前として適当な言葉が浮かばないので,とりあえず「ピックアップサービス」としてみた。

アメリカでは,「Curbside Pick-up」と呼ばれるサービスが拡大している。PLA”Public Libraries Respond to COVID-19″の調査でも,22%が実施していると回答している。

“curbside”は「縁石」という意味で,「縁石でのピックアップ」ということになる。これではよく分からないが,以下の動画を見るとよく分かる。

つまり,①利用者が資料を図書館に依頼,②図書館が資料を用意し利用者に連絡,③利用者が来館し図書館に到着の連絡,⑤図書館が資料を車まで運ぶ,⑥利用者が受け取る,という流れで資料を貸し出すわけである。

このサービスはCOVID-19以前から実施されていた。以前は図書館員が直接利用者に手渡していたが,ビデオでもあるように社会的距離を保って渡すようになっているようである。

日本でも予約資料の受渡しは継続しているところがある。こうしたサービスも参考にできるだろうか。

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図書館のスタッフ

今回もPLAの”Public Libraries Respond to COVID-19“の続きである。今回は図書館で働く「スタッフ」について。調査では,まず,スタッフのタイプを尋ねている。結果,①Part Timeが42%,②Full Time Non-MLISが32%,③Full Time MLISが17%,④一時的雇用などが9%,となっている。

①と④の説明は不要だと思われるが,②は図書館情報学の修士号(MLIS)を持たないフルタイムのスタッフ,③はフルタイムのMLISを持つ職員で,いわゆる「ライブラリアン」と呼ばれている。これら①から③は,単純な定型的業務から,創造的で,経営面に関わる業務に携わる職員,という順番になる。

前の記事で見たように,現在,図書館の多くが閉鎖されている。その間の給与の支払いについて調査がされており,①Part Timeは10%が給与を支払われていないと回答しているのに対して,②と③は1%と回答しており,差がついている。ただし,他の地域(例えばカナダのカルガリー)のようにレイオフはほとんどされていない。

また,在宅勤務指針(WORK FROM HOME POLICY)の有無についても尋ねており,有りが70%,無しが10%で,18%がUndecidedとなっている。Undecidedは現在,策定中,というニュアンスであろうか。

COVID-19とは別の文脈だが,興味深い点として,いわゆるライブラリアンが17%しかいないことがある。そして,また,Part Timeが42%とかなりの部分を占めている。日本でも,公務員,非常勤職員,嘱託職員,委託職員など多様な職員で構成されている。多様である点は共通であるが,大学院で学んだライブラリアンが中核業務を担う,という構造は大きく異るといえるのではないだろうか。

日本の数値は不明だが,「第201回国会参議院 総務委員会第5号令和2年3月18日」で吉田忠智氏(社会民主党)は非公式の資料と断った上で,316自治体の非正規職員(図書館に限らない)の勤務状況を述べている。それによると,84自治体が出勤を取りやめており,そのうち,無給特別休暇が35、欠勤扱いが12で,合計47が無給であるという。なお,総務省は3月5日付けで「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた業務体制の確保について」を発出し「非常勤職員を含む職員全体の働く場の確保」を指示し,事例として「図書館の職員を平常時には十分でなかった書庫整理やウェブ貸出等に従事させる」が挙がっている。

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図書館WiFi環境

Public Libraries Respond to COVID-19“の続きで,今回はWiFiである。WiFiについては,3つのことを尋ねている。一つ目が閉館後,WiFiをどうしたかである。81%は「以前と変わらず提供している」で,12%が「COVID-19以降,拡張または追加している」である。日本での導入状況は不明だが,これほど高くはないだろう。

二つ目は図書館の建物外からアクセスできるようWiFiを設置しているかどうかである。こちらについては,36%が「以前から設置し閉館中も設置している」である。8%は,「拡張または追加している」である。利用者は図書館の駐車場などから利用するようである。

三つ目はHotspotの貸出しを尋ねている。Hotspot,日本ではモバイルWiFiまたはWiFiルータと呼ばれるものであろう。映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」でも貸出しのシーンが出てきたと記憶している。これについては21%が「実施」し,2%が「新たに開始した,あるいは拡大した」と回答している。

日本でも図書館内のネットワーク環境の整備が言われてきたが,まだまだであろう。それと比較してアメリカでは進んでいる。

日本もアメリカも学校,大学が閉鎖されており,大学などではオンラインに移行している。慶應義塾大学でも4月30日に授業が開始されるが,文学部では最初の数回はオンラインが原則になっている。この場合,学生のコンピュータやネットワーク環境の確保が課題になる。Voice of Americaの”School Closings Make Home Learning Hard for Some“という記事では,低所得世帯の貧弱なネットワーク環境が家庭学習を困難にしている状況が問題となっている

教育に関わる機関として,公共図書館がそうした環境を整備することが重要になっている。日本でも,こうした観点から環境整備が考えられてもよい。

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アメリカの図書館

アメリカの公共図書館の状況をPLA(Public Library Association)が調査している。調査期間は3月24日〜4月1日である。PLAは,日本でいえば日本図書館協会の公共図書館部会に近い。

調査では,2,500の図書館システム(設置機関)に調査を行い,約30%から回答を得ている。回答率は低いが,いろいろ参考になる。以下,結果の概要を紹介する(PDF)。

  • 98%の図書館が少なくとも建物の一部を閉鎖している(完全な閉館を含む)
  • 74%が電子書籍,ストリーミングメディアを提供している
  • 61%が催し物をヴァーチャル(つまりオンラインで)で実施している

最初の閉鎖に関しては,逆に1%が”open to the public”との回答であることを考えると,閉鎖がかなりの図書館に及んでいることが伺える。日本と大きく異なるのは,2つめの電子書籍等の提供が進んでいることだ。また,多くの図書館が実施していることとして,以下が挙げられている。

  • 76%がオンラインでの期間更新指針を改定
  • 74%がオンラインの貸出サービスを拡張
  • 41%がオンラインのヴァーチャルレファレンスを拡大

規則の変更は当然であろう。自由回答では以下の活動が多くの図書館で実施されている。

  • 21%がCOVID以外のオンラインリソースを提供している(自宅でできる活動,失業者向けリソースなど)
  • 21%がサービスへのアクセスを拡大している(電子的な利用券など)

他に,ソーシャルメディアの利用は非常に進んでおり,95%が図書館サービスの変更についてソーシャルメディアを活用している。4/22には調査結果をもとにウェビナーを実施する。こうした情報共有から,取り組みを進めていく点は見習いたい。

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COVID-19と図書館

2020年4月7日,いわゆる「新型コロナ特措法」にもとづき,「緊急事態宣言」が出され,それを受けて東京都から「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等」(PDF)が示された。そこでは6つの業態や施設について「基本的に営業の休止を要請する」ことが要請されており,その中に図書館が含まれていた)。  

実際,「カーリルのブログ」によると,4月9日時点で緊急事態宣言の対象となった千葉県,東京都,大阪府,福岡県では休館の割合が100%となっている(調査データ)。 

こうした状況は世界共通で,国際図書館連盟(IFLA)によると,75の国と地域で公共図書館が閉鎖されている。こうしたことについて,世界の状況も交えながら,しばらく考えていきたい。